長い打ち合わせを終え、駅のホームで息を整えてから指定席を予約していた特急に乗り込んだ。車内に入って、私の席番号のプレートを目で追う。見つけた瞬間、違和感がした。そこに、見知らぬ二人が腰を下ろし、テーブルには飲み物とパン。片方は通路側で足を伸ばし、座っている。
「すみません、ここ、私が取った指定席なんですが」
通路側の男性が顔だけ上げて、「空いてるんだからいいでしょ」と言った。テーブルのレシートを指で押さえ、退く気がないのが伝わる。私はスマホの予約画面を開き、席番を示す。
「私の席です」に「空いてるでしょ」
「この番号で予約してます。お手元の席番、見せてもらえますか?」
「なんで? 確認したいなら車掌呼べば?」と通路側。窓側の男性はリュックを膝に抱えたまま、通路側に体を向けて、通り道をふさぐように座り直す。
この車両は全席指定だ。さっきは空いて見えても、この駅から私が座る。そう言いかけたけれど、言い合いにしても埒があかないと思い直した。
「では、係の方を呼んできます」
「席番合ってます」に荷物でふさぐ
私はいったん荷物を持ってデッキに出た。すぐ先の号車で制服の人が検札しているのが見えたので、タイミングを見て声をかける。「指定席に他の方が座っていて、席を替わっていただけなくて……」
「状況は分かりました。ご一緒します」
車掌は私と同じ号車に戻り、二人組の前に立った。「こちらのお客様がこの座席を指定でお持ちです。お二人の乗車券と特急券を確認します」
車掌「乗車券と特急券を見せてください」
通路側の男性が、声を強める。「なんで客が? 俺ら、ちゃんと買ってますよ」
「確認は私がしますので。画面か券面をお見せください」
二人はしぶしぶスマホを差し出した。車掌が指で画面を示す。「こちら、『自由席』と表示されています。指定席ではご利用になれません」
窓側の男性が小さく反論する。「でも、ここ空いてたし……」
「この座席は、この駅からこちらのお客様が利用されます。見た目が空いていても、指定席はお持ちの方のための席です」
画面の表示は「自由席」+区間不足
車掌はもう一台のスマホに目を移し、「それから、こちらは区間の設定が途中駅からになっています。今いらっしゃる区間分の乗車券と特急料金が不足しています」と説明した。
通路側の男性が視線を泳がせた。「え、ここから乗っても同じだと思って……」
「不足分はこの場で精算できます。あわせて、お二人とも自由席車両へご案内します」
二人は顔を見合わせ、肩を落とした。「分かりました」
2人は精算して自由席車両へ
車掌が端末を操作し、金額を読み上げる。二人はスマホ決済で支払いを済ませ、レシートを受け取った。通路側の男性が紙をしまいながら、「はい……」と短く答える。テーブルの飲み物とパンを慌てて片づけ、私の方に向き直って「どうも」とだけ言って、前方の自由席車両へ案内されていった。
「お待たせしました。こちらの席で間違いありません」
「ありがとうございます」
私は指定していた席に荷物を置き、背もたれに体を預けた。さっきまで張りつめていた気持ちがすっとなくなった。ペットボトルの水を一口飲むと、喉が乾いていたことに気づいた。
その後: 出張帰り、やっと腰を落ち着けた
スケジュール帳を開く。駅に着いたら、子どものお迎えと、帰り道で夕飯の材料を少し買う。座席に座れたことで、帰りの段取りがスムーズに進むことに安心した。
車内で困ったときは、早めに係の人に頼る。今回、それだけでこじれずに済んだ。指定席は「たまたま空いている」ように見える時間帯があっても、誰かのための席。係の人がはっきり言ってくれたのが心強かった。
窓の外が夕焼けに変わる。私はメッセージで「今戻ってます」と家に送った。予定どおりの到着時刻が、その後の安心につながる。
さいごに
指定席のトラブルは、本人同士で抱え込まずに係員へ。それだけで無駄な疲れを減らせます。ど声をかけるのがおっくうですが、頼っていい場面です。あなたなら、どのタイミングでスタッフに伝えますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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