父が要介護2の認定を受けたのは、今年の春のことだ。
初めてのケアプラン。初めて聞く介護サービスの名前。担当のケアマネージャーとのやり取りにも慣れないまま、半年が過ぎた。
それでも最近、ひとつひとつは小さいのに、どうしても引っかかることが増えていた。
「確認してますよね?」が口癖
サービスが始まって1か月ほどした頃、最初の違和感があった。
ヘルパーさんの訪問時間が曜日によって違い、父が、
「今日は何時に来るんだっけ」
と何度も聞くようになった。
予定表は渡されていたけれど、父には少し見づらいようだった。
そこで担当のケアマネージャーに電話した。
「父が予定をうまく把握できなくて。もう少し分かりやすい形で共有する方法はないでしょうか」
すると、
「あ、それはスケジュール表をお渡ししていますよね。ご確認いただけていますか?」
と言われた。
「書類はあります。ただ、父本人が見ても混乱してしまうみたいで」
そう説明すると、
「では、ご家族で一緒に確認してあげてください」
そこで話が終わった。
もちろん、家族で確認することはできる。
でも私が聞きたかったのは、たとえば訪問する曜日や時間をできるだけ揃えられないか、もっと見やすい予定表にできないか、ということだった。
相談したはずなのに、気づけば「家族が確認すれば済む話」になっていた。
あれ?
小さな違和感が残った。
「そこまでは難しい」で止まる
その後、父の状態が少し変わり、入浴の介助を増やせないか相談したことがあった。
担当のケアマネージャーは、
「限度額との兼ね合いもありますし、そこまで増やすのは正直難しいかもしれません」
と言った。
私は毎月もらっている利用票を思い出した。
「私の見方が間違っているかもしれませんが、まだ少し余裕があるように見えるんです。ほかに難しい理由がありますか?」
そう聞くと、
「じゃあ一度、事業所にも確認してみますね」
と言われた。
それから2週間。
連絡はなかった。
こちらから電話すると、
「あ……すみません。確認するのを失念していました」
と返ってきた。
悪びれないわけではない。
ちゃんと謝ってもくれる。
でも、父に必要な支援の相談が、こちらから催促しなければ止まってしまう。
結局、事業所の空き状況なども確認したうえで調整することになり、実際に利用内容が変わるまでにはさらに時間がかかった。
必要な支援が、少しずつ後ろへずれていくような感覚があった。
サービス担当者会議でも「ご家族で」
先週、サービス担当者会議があった。
担当のケアマネージャー、ヘルパー事業所、デイサービスのスタッフと、父の今後について話す場だった。
そこで私は、
「排泄介助のとき、父が嫌がってしまうことがあるそうです。本人が抵抗しにくい声のかけ方や、やり方を相談できませんか」
と聞いた。
するとケアマネージャーは、
「お父様にも気分の波がありますからね。ご家族から日頃、介助を受けるように声をかけていただけると、現場もやりやすいと思います」
と答えた。
少し引っかかった。
もちろん、家族から話すことも必要だろう。
でも私は、介助する側で何か工夫できないかを相談したつもりだった。
するとヘルパー事業所のスタッフが、
「こちらでも、声をかけるタイミングや担当者による違いがないか確認してみますね」
と続けてくれた。
デイサービスのスタッフも、
「うちではどういうときなら受け入れてくださるか、記録を見て共有します」
と言った。
その言葉を聞いて、少しほっとした。
同時に、
やっぱり私は、さっきまで感じていた違和感を無理に飲み込まなくてもいいのかもしれない。
そう思った。
帰り道、父の一言に立ち止まる
家に戻ると、父が聞いた。
「今日はどうだった?」
「みんなで今後のことを話したよ」
そう答えると、父は少し間を置いて、
「そうか。ありがとうな。大変だろ」
と言った。
その一言が刺さった。
父のためにやっているつもりなのに、最近はケアマネージャーとのやり取りそのものに疲れている。
ケアマネージャーを変更できることは調べて知っていた。
でも、また一から父の状態やこれまでの経緯を説明することになる。
サービスの流れが変わったら、父が混乱するかもしれない。
そう考えると、すぐに「変えてください」と言う勇気も出なかった。
まずは、違和感をそのままにしないことにした
その夜、これまで気になったことをノートに書き出した。
予定の相談をしたときのこと。
入浴介助の確認が止まっていたこと。
会議で「ご家族で」と言われたこと。
書いてみると、ひとつひとつは小さい。
でも私が疲れていた理由は、相談するたびに、
「まず家族で何とかしてください」
と返されているように感じていたからなのだと分かった。
翌日、担当のケアマネージャーがいる事業所に電話をした。
すぐに担当を変えてほしい、とは言わなかった。
「今後の相談の進め方について、少し困っていることがあります。管理者の方にも一度相談できますか」
とだけ伝えた。
電話を切ると、少し肩の力が抜けた。
担当を変えるかどうかは、そのあと考えればいい。
まずは、
「私はここに困っています」
と伝えるところからでいい。
連絡帳を開き、今日の父の様子を書いた。
昨日までと同じ作業なのに、少しだけ気持ちが違っていた。
さいごに
介護が始まったばかりの頃は、何が普通で、何を相談していいのかさえ分からないことがあります。
「ご家族で確認してください」と言われれば、そうするものなのだと思ってしまうこともあるでしょう。
でも、家族だけで抱えるために介護サービスがあるわけではありません。
小さな違和感でも、何度も続いて負担になっているなら、一度言葉にしてみることも必要なのかもしれません。
あなたなら、担当者とのやり取りに違和感が重なったとき、どの段階で誰かに相談しますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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