保育園のお迎えは、仕事以上に締め切りがシビアです。延長料金も気になりますし、先生や子どもに申し訳なさも残ります。30代になってからは、時間に追われるストレスが体に出やすくなりました。それなのにわが家では、お迎え前だけ私が短距離走選手のようになっていました。
毎回ギリギリのお迎えで私が走ります
夫は在宅と出社が半々で、私より少し融通がきく働き方でした。そこで平日は週2回、夫がお迎え担当にしていました。
ただ、夫の「迎えに行く」は、玄関を出る時刻ではなく「そろそろ向かうつもり」くらいの意味でした。お迎えは18:30までなのに、18:15を過ぎても既読がつかなかったり、「もう向かってる?」に数分後「うん」だけ返ったりします。
私が走る判断には、一応の基準がありました。18:18の時点で夫が家を出た形跡がないときは、私が職場を切り上げて向かいます。園への遅延連絡は夫の役割にしていましたが、それすら忘れる日があり、結局私が電車を降りてから全力で坂を駆け上がる日が月に3回はありました。
門の前で待つ息子と、忙しそうに笑う先生を見るたびに胸が痛みました。それでも夫は帰宅後に「間に合ったならよかったじゃん」と軽く流し、その軽さがいちばん刺さりました。
引き金は「今出たとこ」でした
ある雨の日、私の会議が長引きそうだったので、朝から「今日はお願いね」と念押ししていました。18:10になっても連絡がなく、嫌な予感がして電話をかけました。
その日は園のアプリで「18:25に正門を施錠します。以降はインターホン対応で延長扱いになります」という通知が来ていました。私は駅のホームで、時計と通知を交互に見ながら返事を待ちました。
夫は少し息を吐くようにして、こう言いました。
「今出たとこ、間に合うでしょ」
私は、その場で間に合うかどうかは気合いでは決まらないと思いました。今どこにいて、あと何分で着けるのかが全てでした。私は雨の中を走り、18:28にインターホンを押して受け渡しをしました。先生からは「次からは延長になりますので、早めの連絡をお願いします」と静かに言われ、胸の奥が熱くなりました。
位置共有と到着記録で事実を積みます
帰宅して夫を責めても、「雨が降ってた」「信号が多い」「そもそもギリギリ設定が悪い」と言い訳が増えるだけでした。感情でぶつかるほど、こちらが疲れるだけだと分かりました。
そこで私は、言い争いではなく事実で話すことにしました。夫に「お互いのために、位置共有をオンにしたいです」と伝え、その場でスマホ設定を一緒に確認しました。あわせて記録のルールも決めました。「出発=玄関のドアを閉めて家の外に出た時刻」「到着=園の受付前に着いた時刻」です。玄関の鍵にスマートロックを導入して、鍵を閉めた時刻を通知で受け取れるようにしました。
園までは徒歩で約12分かかります。2週間だけ淡々とメモを残すと、夫担当の日は出発が18:18、18:20、18:22という日が続き、到着は18:32〜18:35が中心でした。玄関を出る前に鍵や靴下を探している時間は、当然「出発前」に含まれていて、遅れの原因が見える形になりました。
私はメモと位置共有の履歴を並べて見せ、「間に合うかどうかを感覚ではなく到着時刻で決めたいです」と伝えました。夫は黙ったあと、翌日に「確かに遅かった。数字で見ると分かるね」と言い、ようやく前提が揃いました。
ルールを徹底してやっと時間通りになりました
夫は悪気がないタイプで、最初は「俺が遅いってこと?」と戸惑っていました。そこで私は人格の話にせず、担当とルールの話に寄せました。
お迎え担当そのものは変えず、夫が担当の日は必ず「18:05出発」を基準にすることにしました。スマホのカレンダーには繰り返し予定を登録し、通知は18:00と18:05の2回鳴るように設定しました。さらに、出発前に靴下や鍵を探して慌てないように、まとめて置く場所も決めました。
位置共有とスマートロックの通知も続けました。「出発したつもり」ではなく、玄関の鍵を閉めて家を出た時刻を出発時間として見るためです。到着時間も、園の受付前に着いた時刻で確認するようにしました。
最初のうちは、夫も少し面倒そうでした。でも、18:05に出れば18:17前後に着けること、18:15を過ぎて出ると高い確率で間に合わないことが、記録としてはっきり見えるようになりました。感覚ではなく数字で見ると、夫も「あと5分くらい大丈夫」が本当に大丈夫ではないと理解したようでした。
それからは、夫担当の日でも私が駅から走ってリカバリーする回数はほぼゼロになりました。遅れそうなときは夫から先に連絡が来るようになり、園への連絡も自分で入れるようになりました。
時間の話は感情の押し付け合いになりやすいですが、事実を一緒に見られるようになると対等に話せます。私は今日も、息を切らさずに息子を迎えに行けています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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