結婚2年目。夕飯の皿を片づける私の横で、夫は引き出しから封筒を出したがる。次は何を要求されるのか、胃が重くなる夜が増えた。
最初は「頼れる夫」でいたい気持ちなのだと思っていた。けれど、私の財布に手を伸ばすたび、別の違和感がした。
「家計は俺が見る」から要求が増えた
入籍してすぐ、夫は言った。「家計は俺がまとめる。固定費も任せて」。
それ自体は助かる。けれど続きがあった。「ボーナスは丸ごと。毎月5万円は現金で。封筒にして渡して」。
理由は「引き落としの端数を埋めるから」。通帳やカードは夫が「管理する」と言って、私の目の届かない引き出しにしまわれた。
渡すたびにメモを取った。月ごとの封筒の色、手渡した日付。家計の話なのに、私の方がこそこそ記録しているのが変だと思いながら。
「ボーナス全部ね」と郵便の束
毎回、同じ言葉が戻ってくる。「ボーナス、全部ね」。
現金にこだわるのも気になった。夫が私のスマホで銀行アプリを消したため、明細の動きが見られなくなった。郵便物は先に夫が回収し、私は水道光熱の明細さえ見なくなっていた。
ある日、靴箱の奥に封筒がまとめて差し込まれているのを見つけた。見慣れない公的な封筒や、差出人に法律事務所名が印刷されたもの。中に「養育費」という言葉が見える書面もあった。
その夜、私は戸籍の写し(世帯全員分)を取り寄せる手続きをした。届いた写しには、夫の過去の「認知」の記録が載っていた。私は、その話を一度も聞いていなかった。
「戸籍の写し、どうぞ」を机に
逃げずに向き合うしかない。私が耐えれば済む話ではない。
テーブルに、封筒ごとに書いてきた受け渡しメモ、夫からの「今月5万、用意しといて」というメッセージのスクショ、ポストで見つけた封筒と書面、そして戸籍の写しを並べた。
「これ、今日届いたわけじゃないよね。私のボーナスと毎月の5万、どこに消えたのか説明して」
夫は椅子を引き、書類の端を指でつついた。「それは…ちょっと前の話で。俺が片づけるから」
「それは…昔の話」夫が濁す
「婚姻と認知の記載、見えるよね。私、知らされてなかったよ」
夫は口を開きかけて、すぐ閉じた。「別れた人との子に、少し遅れてる。仕事が安定しなかった時期があって…埋め合わせで現金が必要だった。だから家計を一回通して…」
私は短くうなずいた。「事情は分かった。でもそれはあなたの責任。私のボーナスは、私たちの将来のために貯めてた。今後は私の銀行口座に触れさせない。毎月5万も、もう渡さない」
夫が顔を上げた。「待って。今月だけは——」
「今日で止める。固定費は見える形に切り替える。契約は分けて、私名義の口座から私が払う分は私が払う。あなたの分はあなたが払って。養育費の相談は、専門のところに連絡して」
言い合いにはしなかった。出すべき紙は机の上にある。私はその場で口座の暗証番号を変えた。
「もう預けない」で支払いを分けた
夫はしばらく黙って、手を膝に置いた。「分かった。要求はやめる。通知が来てた分は俺が段取りする。相談窓口に連絡して、支払い計画を立てる」
私はうなずいた。翌日、勤務先に連絡して給与の振込先と社内積立の配分を見直した。家計アプリを私のスマホで再設定し、電気と通信の支払い方法を私名義に切り替える手続きを進めた。
夫は、公的窓口と相手方の連絡先を書いたメモを持って外に出た。「今日は返せないけど、取り決めを作る」とだけ言って玄関を閉めた。
振込管理に変えた今の暮らし
今は、家賃や食費など共通の出費だけを表にして、それぞれが決まった額を口座振込で入れる形にした。お互いの貯蓄と小遣いは別管理。封筒での現金の手渡しは、ゼロ。
月末にノートを開けば、入金日と金額がすぐ分かる。あの「どこに消えたの?」という不安は消えた。
夫の方は、支払い計画を作ったと言った。滞納分の扱いは、相手方と専門家の間で話していくらしい。私の財布がそこに組み込まれることは、もうない。
「家計は俺が見る」という一言に全部を預けない。誰が何をどこから払っているか、紙と画面で互いに確認できる形にしておく。今の我が家は、そこだけは守れている。
さいごに
お金の違和感を見て見ぬふりにすると、毎日がざわつきます。今回の決め手は、言い合うより紙で見せたことでした。
家の財布、あなたの家ではどうしていますか? どちらかに寄せすぎず、「誰が見ても分かる」を合言葉にできたら、気持ちが少し楽になりますよね。あなたなら、どうしますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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