スーパーのレジ前で、また言われた。「今日は2千円でやれ。ミニトマトは戻せ」。かごから赤い実をつまみ上げて棚に戻すたび、視線が痛い。家族で食べるサラダ用に毎回買っていたのに、なぜここで削るのか。
節約のつもり。最初はそう思っていました。けれど、モヤモヤは買い物のたびに大きくなりました。
「2千円でやれ。ミニトマトは戻せ」
夫はいつも、レジ前で合計額を見てから品物を指さします。「それ高い」「次でいい」「戻して」。ヨーグルトや卵も対象でした。列の後ろに人がいるのに、私はかごをのぞき込み、言われたものを取り出す。店員さんに「すみません、これやめます」と差し出すと、夫は会計を続けます。
その横で、夫は自分用のクラフトビールとつまみを別のかごに入れて、別会計。「これは俺の財布からだから」と言います。家計は苦しいから2千円まで、でも自分の楽しみは別枠。帰り道、私の手には軽くなった袋と、言えなかったことだけが残りました。
「身の丈に合わない」と言われた日
買い物だけではありません。美容室の予約を伝えたときも「身の丈に合わないだろ。前髪は自分で切れ」と止められました。私がパートで稼いだ分は、毎月共通の口座に入れるように言われ、キャッシュカードと家計アプリのIDも「見えるようにするから」と言われ、共有しました。ポイントも夫が管理。「期限切れるから使っといた」と言うけれど、明細を見ると夫の買い物ばかり。私が新しい下着を買おうとすると「まだ使えるでしょ」。
私が無駄遣いなのかな。そう考えた私は、1か月、レシートと買い物メモを残しました。何を戻したか、夫が何と言ったか、簡単な言葉で。自分の支出と、夫の趣味・飲み会の出費も、通帳とアプリの履歴を写しました。
1か月記録して窓口へ
集めた紙をクリアファイルに入れて、自治体の女性相談窓口へ行きました。受付で事情を伝えると、個室に通されました。相談員の方は、私のメモを順に見て、質問をくれました。「生活に必要な物を戻させるのは、いつからですか」「お金の出どころは誰が決めていますか」。
私は、最初は助け合いのつもりだったこと、けれど次第に私だけが削られていったことを話しました。
相談員「経済的DVの可能性があります」
相談員は、「単なる節約ではなく、経済的DVに当たる可能性があります。生活に必要なお金や自分の収入を一方的に管理されている状態だからです」と説明しました。
節約なら、必要な物に優先順位をつけて一緒に決めるはず。誰かの美容室や下着を一方的に止めない。ポイントや給料の口座も、説明なしに取り上げない。相談員の説明を聞き、夫の言動が単なる節約ではないと分かりました。
その場で教えてもらったのは、いざというときの連絡先と、まず守る物。自分名義の給与口座とキャッシュカード、保険証や身分証。私は通帳とカードを自分の手元に戻し、暗証番号も変えました。姉に電話して、万一の泊まり先をお願いしました。買い物も、夫とは一緒に行かないことにしました。必要な物は私がリストを作り、平日に一人で買う。レジ前で商品を戻すことは、もうやめました。
気づいてからの小さな選択
家に帰ると、夫はまた言いました。「今日の晩飯、500円以内で」。私は「必要な物は買ってくる。金額は私が決める」とだけ返しました。大きなけんかはしていません。カードと身分証を自分で管理できるようになり、必要なときに家を離れる準備もできました。姉から「いつでもおいで」とメッセージが来て、少し安心しました。
レシートや明細を記録したことで、私だけの支出が問題ではないと確認できました。すぐに結論を出さず、安全に相談できる準備から進めています。
さいごに
生活費や本人の収入を一方的に制限する行為は、単なる節約ではなく、経済的な支配になり得ます。自由に使えるお金や通帳を管理されていると感じたら、あなたは最初に誰へ相談しますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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