隣人「すぐ外すんで」→私「通路に出さないで」→「遅刻する!」で自分のコードに転んだ結果

       
体験談
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隣人「すぐ外すんで」→私「通路に出さないで」→「遅刻する!」で自分のコードに転んだ結果 体験談

木造二階建ての小さなアパート。買い物袋を抱えて階段を上がると、玄関前の床にコードがうねっている日が増えた。

踏んだら感電するわけではないけど、つまずくのは怖い。夜は暗いし、両手がふさがっていると余計に身構える。

「すぐ外すんで」の帰路

初めて見たのは、隣の部屋のドアが半開きで、中から細い延長コードが出ていた夜。たどると、共用廊下に電動のキックボード。本体側の充電器が赤く光っていた。

「通路に出さないでください。危ないので」

声をかけたのは一度だけ。私がそう言うと、隣の男性はヘラヘラと笑って「すぐ外すんで」。

外すどころか、その日から当たり前になった。朝も夜も、コードは長く、足元を横切る。前から掲示板には「共用部に私物を置かないでください」と大きく貼ってある。それでも彼は、部屋が狭いのか、外の方が楽なのか、廊下を自分のガレージみたいに使い続けた。

雨の日は斜め置きで塞がる

雨の日はもっと困った。濡らしたくないのか、本体を斜めに置いて、通路の半分以上をふさぐ。私が傘とゴミ袋を持って出ると、通れない。キックボードのハンドルを避けるように体をひねり、延長コードをまたいで抜ける。濡れた床で足が滑りそうになり、心臓が跳ねた。

そのたびに「またか」と小さくため息をつく。直接言い合うのは避け、日付が分かるように写真を撮って管理会社へ連絡した。掲示板の張り紙だけでは改善しないこと、夜間はコードが見えにくく危険なことを伝えると、管理会社は全戸への注意文を配り、隣室にも個別に撤去を求めた。それでも数日は置かれたままだった。

ただ一つ分かったのは、彼は朝が弱い。何度か、慌てた足音と「あ、やば、時間ない」という独り言がドア越しに聞こえた。コードはいつも綱のように伸び、コンセントは彼の部屋の低い位置。急いでいれば、足元なんて見ないだろうな、とぼんやり思っていた。

「遅刻だ!」と飛び出した朝

問題の日は、資源ゴミの日。早起きして束ねた新聞を玄関に置き、サッと出ようとドアを開けた瞬間だった。

隣のドアがバンと開いて、彼が小走りで飛び出した。肩にバッグ、片手に鍵。口から出たのは「遅刻する!」の一言。

次の瞬間、足元の延長コードに靴先を引っかけて、彼の体が前に投げ出された。ガンと床に手をつき、斜め置きのキックボードが連鎖でドサッと倒れる。充電器が床に叩きつけられて、プラグが抜け、赤いランプが消えた。

私は反射的に新聞の束を引き寄せて、通路の端に下がった。彼は「っつ…」と短くうめいて、倒れた本体を起こす。私と目が合うと、なんの言葉もなく、コードを手繰って自分の部屋へ持ち帰った。

共用部に置かれたものは、誰かが踏む。頭の中に、その結論だけが残った。

壁越しの「痛い出費だわ…」

その日は私も忙しく、仕事から戻ったのは夕方。壁の薄い建物で、隣の生活音はだいたい伝わってくる。

電話の声がひとつ。「いや、充電器イカれた。ケーブルも断線してるっぽい。痛い出費だわ。は?予備なんてないよ」

玄関の前は、朝の騒ぎが嘘みたいに何もない。延長コードも、本体も消えていた。

掲示板の下に小さな一筆

翌朝、回覧板を取りに出ると、掲示板の張り紙の下に新しく紙切れが一枚、テープで留めてあった。

「ご迷惑をおかけしました。今後は置きません」

ボールペンの勢いのある字。見慣れた回覧板の名前と同じ筆跡だ。

管理会社から注意を受けても動かなかったのに、自分がつまずいて初めて危険を実感したらしい。私は掲示を確認した管理会社へ、通路が片付いたことを連絡した。

挨拶を交わすような仲ではないけれど、すれ違った朝、彼は私を見て会釈した。私は「おはようございます」とだけ返した。通路は静かで、幅は本来のままだった。

その後、通路は元の幅に

それから数週間、廊下に私物は出ていない。雨の日も、濡れた傘立てだけが各戸の前に並ぶ。足元を意識しなくていい帰り道は、思ったより肩の力が抜ける。

電動の乗り物自体を悪く言うつもりはない。便利なら使えばいい。ただ、共用部はみんなの道。掲示板の短いルールと、今回の一件で、ここは私物を置かない場所だとはっきりしたと思う。

私も、もし自分の都合で通路を塞いでいたことがあれば、今日の彼の一筆を思い出すだろう。謝って、やめる。それだけで十分だと知ったから。

さいごに

共用の場所に私物を置くと、結局は自分に返ってくる。今回は相手の出費と恥で止まり、通路が守られましたね。こういう「ちょっとだけ」の違反、見たことありませんか。あなたなら、最初の一言をどう伝えますか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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