週末になると、夫の実家へ行くのが当たり前になっていた。
三歳の娘の世話をしながら、昼食の支度と片づけ、義母の買い物まで引き受ける。膝を痛めた義母はほとんど動かず、義父も「口を出すと機嫌が悪くなるから」と手を出さなかった。
「親孝行だと思って」
夫に負担を訴えても、返事はいつも同じだった。
「週末だけだろ。親孝行だと思って頼むよ」
義母が変形性膝関節症と診断され、定期的な通院が始まると、付き添いまで私の役目になった。夫は仕事、義父は運転が苦手という理由だった。
娘を保育園へ送り、義母を車に乗せ、病院で受付をする。診察が終わるまで数時間かかる日もあった。それでも義母は夫に、「嫁が好きでやってくれている」と話していたらしい。
医師に負担を聞かれて
ある日の診察で、医師が自宅での生活を尋ねた。
「通院や家事は、どなたが手伝っていますか」
義母は明るく答えた。
「大丈夫です。嫁が全部やってくれますから」
医師は私の顔を見て、「毎週の付き添いもお一人ですか」と確認した。私は、買い物や食事の支度も含め、ほぼ一人で担っていることを初めて口にした。
「それでは、ご本人だけでなく、付き添う方も長く続きません。次回はご主人にも来てもらい、家族で分担を相談しましょう。必要なら地域包括支援センターも案内できます」
治療を続けるうえで家庭の支援体制を確認する必要があると説明され、義母も反対できなかった。
夫が初めて診察室へ
次の診察日は、夫が半日休暇を取った。医師は義母の治療方針を説明したあと、家で誰が何をしているか、一人ずつ確認した。
私が通院、買い物、食事の支度を担っていると知り、夫は驚いた。
「そこまで全部とは聞いてなかった」
「前に何度も話したよ。『親孝行だと思って』って言われたから続けてきたの」
医師は夫に向き直った。
「奥さま一人に任せる前提では続きません。ご家族で役割を決めてください。外部の支援を使えるかも、相談窓口で確認できます」
夫は言い返さず、うなずいた。
家族だけで抱えない仕組みへ
その日のうちに、夫は義父と話し合った。通院は夫と義父が交代し、買い物は宅配も利用する。私が義実家へ行くのは、事前に都合を確認した日だけにすると決めた。
さらに、地域包括支援センターへ相談し、介護保険の申請を進めた。義母は要支援認定を受け、ケアマネジャーと相談したうえで、家事の一部を支援してもらうことになった。
義母は当初、「たくさん人を家に入れたくない」と渋ったが、義父が言った。
「嫁さん一人に頼るやり方は終わりにしよう。俺たちもできることをやる」
夫も、「母さんのことは、まず俺が相談を受ける」と伝えた。
週末が戻ってきた
今では、通院予定は家族の共有カレンダーに入り、担当が事前に決まる。夫はもう「親孝行だと思って」と私に押しつけない。
義母から急な頼み事が来ても、私はすぐに引き受けず、夫と義父に確認するようになった。娘とゆっくり過ごせる週末も戻ってきた。
医師が家族を叱ったから変わったのではない。負担の実態を言葉にし、家族と支援機関がそれぞれ役割を持ったことで、無理のない形に変えられたのだと思う。
さいごに
義母の世話を一人で担っていた女性は、診察で負担を伝え、家族の分担と公的支援につなげました。家族の世話は善意だけで一人に背負わせず、作業と時間を具体的に共有することが大切です。あなたの家庭で負担が偏ったとき、まず誰に相談しますか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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