友人と約束していた人気店。開店直後から待ち列がのびるのを横目に、私は時間ぴったりに受付へ。
「予約してます。名字は…」
言い終わらないうちに、受付の若い店員さんが顔を上げた。
「同じお名前の方が先にいらして、もうご案内済みでして…」
胸がざわついた。
「同じお名前で入店済みです」
「えっと、私が本人です。予約、再度確認してもらえますか?」
「すみません、こちらのメモでは同じ名字の四名様が入店済みで…」
私の予約は二名。人数も違う。
「予約の確認メールがあるので、見てもらえますか?」
スマホを開いて、日時と予約番号が入ったメールを見せた。友人が横で「時間もぴったり合ってるよ」と小声で言う。店員さんは画面をのぞき込んで、困った顔をした。
「少々お待ちください…」
奥に引っ込もうとする背中に、私は一言添えた。
「電話番号も伝えてるはずです。照合していただけますか」
「番号、言えますか?」で迷惑電話だと判明
夕食時の店内はにぎやかで、待ちの列はさらにのびていた。私たちの後ろの人も気にしてこちらを見る。長引かせたくなくて、手元のメールを拡大して番号を見やすくした。
店員さんが戻ってきて、「店長を呼びます」と言った。少しして現れた店長は、私のスマホに目を通し、受付の端末と紙の台帳を照らし合わせた。
「ご予約番号と、お電話の下四桁をお願いします」
私は番号と下四桁を口にする。店長の指が台帳の同じ数字で止まり、頷いた。
「確認できました。失礼しました。少しだけお時間をください」
店長は店内へ入り、視線の先で四人組のテーブルに向かった。私の名字が書かれたwelcomeボードが置かれている。聞き耳を立てるつもりはないが、会話が聞こえた。
「ご予約番号と、お電話の下四桁を教えてください」
「スマホ忘れてて。番号なんて覚えてないし」
「お連れの方は?」
「番号とか分かんない。名前で通ったし」
店長は端末をこちらに向けて、事実をはっきり伝えた。
「名前だけではご案内できません。こちらの番号のお客様は、今こちらにいらっしゃいます」
返事に詰まり、列の最後尾へ戻る四人組
四人のうち一人が笑ってごまかそうとした。「同じ名字なんてよくあるでしょ」
店長は首を振った。
「人数も予約時と合っていません。申し訳ありませんが、こちらの席はお譲りください。お並びいただければ、順番にご案内します」
「ちょっと待ってよ。せっかく座ってるのに」
「他のお客様のご予約です。ルールですので」
四人組は渋い顔で席を立ち、入口の待機列の最後尾へ戻っていった。店長は札を外し、私たちのもとへ戻ってきた。
「このたびはご迷惑をおかけしました。すぐに本来のお席へご案内します。お詫びにワンドリンクお出しします」
「助かりました。ありがとうございます」
友人は小声で「番号、大事だね…」とつぶやいた。
本来の席で、やっと「いただきます」
案内されたのは、事前に希望していた奥の二人席。メニューを開く手がほっとゆるむ。ほどなく運ばれたドリンクは「お詫び」のもの。店長は周囲の待機列にも向けて「先ほどの不手際、申し訳ありません」と一言添えていた。
料理が来るころ、受付の前に新しい紙が貼られた。「ご予約の方は、予約番号とお電話の下四桁のご提示をお願いします」。
「対応、早いね」と友人。
「同じこと、もう起きてほしくないもんね」
その夜は話もはずみ、せっかくの約束を無事に楽しめた。帰り際、店長はもう一度頭を下げ、「受付の手順を見直します」と言った。
その後、受付は「番号+下四桁」になっていた
後日、別の友人と再訪した。受付では「ご予約番号をお願いします」と最初に聞かれ、番号と下四桁の照合でスムーズに席へ。名前だけで通す怖さを、店も私も身をもって知った夜だったと思い出す。
予約の確認メールを見せるなんて当たり前のようで、実は大きな分かれ道だった。もし「あ、じゃあいいです」と引き下がっていたら、私の予約はそのまま他人のものになっていたかもしれない。
あの四人組には、次は堂々と自分の順番で座ってほしい。行列の店での小さなズルは、思った以上に多くの人を巻き込むから。
さいごに
同じ名字を名乗られて予約を横取り…身近でも起こりうる出来事でした。番号と電話の下四桁、ひと手間で守れる安心がありますね。
忙しい時間帯、店もお客も焦ります。そんな時ほど「確認」を口にしづらいもの。あなたなら、どう伝えますか?似た経験、ありませんか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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