午後のカフェで一息つこうと、カウンターでアイスラテを受け取って席に座った。ストローをさした途端、隣のテーブルで大きめの着信音が鳴る。嫌な予感は当たって、「スピーカーで話すから♡」の一言。机に置かれたスマホから大きな声が店内に広がり、カメラも起動して私のテーブル側まで映り込む角度になった。
彼女は笑いながら「見せるね、店内かわいいよ」と、店内をぐるり撮っていく。壁の端には「通話はご遠慮ください」の貼り紙があるけれど、入口を入ってすぐの高い位置にあって、席に座ってしまうと視界に入りにくい。勝手に撮られるのも、会話の音量も、さすがにきつかった。
私はラテを一口飲んで気持ちを落ち着けてから、店員さんを呼んだ。「すみません、あちらで通話と撮影をされていて…貼り紙もありますよね」。若いスタッフさんは眉を寄せて、「注意するとトラブルになることが多くて…よろしければ、奥の席をご案内できます」。
強い言葉で止めてほしい気持ちもあったけれど、見ず知らずの人とぶつかる勇気もない。私はトレーを持って席を替えた。奥は静かで、壁際に電源もある。けれど、合間に大笑いが聞こえる度に、休憩のつもりで来たのに落ち着かない気持ちが続いた。
「注意できなくて…」と言われて考えたこと
スタッフさんの声は申し訳なさそうだった。クレームになった経験が何度もあるのだろう。お店が安全を優先するのは理解できる。私だって、直接「やめてください」と言って逆上されたら怖い。
だからこそ、最初に気づける仕組みがいるのかもしれない。席に小さなカードを置くとか、メニューの表紙にも一言添えるとか。会計のとき、「入口の高い位置だと見逃す人もいるかも。テーブルにもあると助かります」とだけ伝えた。スタッフさんは「検討します、教えてくださってありがとうございます」と頭を下げた。
店を出てからも、さっきの笑い声と、店内を撮るスマホの画面がふと頭に浮かんだ。悪気なくやっている様子なのが、よけいに気まずい。貼り紙ひとつで気づく人もいれば、気づかない人もいる。その間に挟まれると、休憩のつもりが疲れる時間に変わってしまう。
さいごに
貼り紙があっても止まらない声とカメラ、こういう場面に出くわしたことがある人も多いと思います。注意したい店員さんにも、言い出せないお客さんにも、それぞれの怖さがあるんですよね。もし自分がその場にいたら、どうしていたと思いますか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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