炊飯器が夕方に突然動かなくなった。とりあえず夫と家電量販店へ向かう。
玄関にはネットで注文した大きな段ボールが一つ置きっぱなし。ここ数カ月でいくつも届いて、開けた箱は夫の趣味部屋に運ばれていった。最後の一つだけがまだ残っている。
うちは家計のクレジットカードを家族カード2枚で使い、アプリも共通だ。履歴には買い物ごとに「利用者名」とカードの下4桁が出る。私のスマホにはその通知が届いていて、最近は「また増えたか」と言いながらそのままにしていた。
「会計止めて。浪費やめろ」
炊飯器は中くらいの価格帯で決めた。必要な機能で特売、ポイントも付く。
レジでバーコードが通った瞬間、夫が手を出した。
「ちょっと待って。会計止めて。浪費はやめろ。今日は買わない」
店員さんの手が止まり、後ろの人たちは別のレジへ案内された。
私は伝票の金額を指さした。「壊れててもう炊けないよ。今夜どうするの?」
「鍋で炊けるだろ。こういうのは一回考え直すの」
買い替えを「贅沢」扱いされ、胸にざわつきが残った。
「俺の金だ」を繰り返す夫
「相談もなく高いの買うなよ。俺が稼いでるんだから、俺の決裁がいるだろ」
夫はレジ横で説教を始めた。
「高いのは選んでないよ。生活の道具は家計、小遣いで買うのは趣味の物って決めてるよね。炊飯器は生活費の予算内だよ」
「予算なんてお前の都合だろ」
その言葉で、玄関の箱やスマホの通知が頭に浮かんだ。必要な物まで止められるなら、流してきたものを出す番だ。
「購入者の名前、ここに出る」
私は家族会員アプリを開き、保証書の一覧を夫に向ける。履歴ごとに小さく「利用者:夫の氏名/支払い:家計カード下4桁1234」「受け取り:夫の氏名」と出ている。
「これ、見て。購入者の名前、ここに出る」
指で数件読み上げた。
「先月15日 ゲーミングチェア 59,800円(利用者:あなたの名前/支払い:家計カード下4桁1234)。先週 リール 24,000円と釣り竿 41,000円(受け取り:あなたの名前)。あと、スピーカー 32,000円」
店員さんにも聞こえる声量で言い合うつもりはない。けれど、ここははっきりさせる。
「家計カードで趣味の物を買ったのはあなた。炊飯器は生活で使うもの。どっちが『浪費』かな」
夫は口を開いたまま言葉が出てこない。「仕事の疲れもあるし…」と視線を落としたところで、店員さんがこちらの返事を待っている。
「今日は炊飯器を買います」
夫が黙り、会計を進めた
沈黙のあと、夫は財布を出した。
「…それ、お願いします」
会計が進み、私は保証書の登録をその場で済ませた。支払いは家計カード。商品を受け取る手つきはぎこちない。
私も履歴は出したけど、先に「浪費だ」と大勢の前で止められたのは夫だ。その恥ずかしさは残った。
家で渡されたカードと設定直し
帰宅して炊飯器を出すと、夫がテーブルにカードを置いた。
「これ、家計のカード。管理、お願いする。自分の物は小遣いから買う。通知、俺のスマホはオフにしてた。ごめん」
私は条件を伝えた。
「毎月の生活費は口座に固定額を振り込んで。1万円を超える物は事前に共有。通知は二人のスマホで受け取る。オフにはしない。」
夫はうなずき、二人のスマホで通知設定を一緒に確認した。
その後のわが家と私の気持ち
新しい炊飯器は毎日働いてくれている。玄関の大きな箱は増えなくなった。
夫は月初に生活費を振り込み、趣味の道具の話は小遣いの範囲でだけ出てくる。
レジで止められた悔しさは簡単には消えない。でも「生活の道具は止めない」「家計カードは約束どおりに使う」。これだけは譲らないと決めた。
次にまた同じことを言ったら、私はまたアプリを開くつもりだ。
さいごに
必要な買い替えまで「浪費」と決めつけて会計を止めるのは、節約ではなく相手の手綱を握る行為に近いのかもしれません。記録や通知は、責めるためではなく事実を合わせる土台になります。同じ場面に出くわしたら、あなたは何を根拠に、どう伝えますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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