妻が出産して、3人での暮らしが始まったばかり。やっと赤ちゃんの寝息が整い、部屋も静かになってきた。そこへ、妻の妹(義妹)から軽い調子のメッセージが届いた。
「生活費12万で同居してあげる♪」
「赤ちゃんの相手、大変でしょ? 私が同居してあげる。シッター代で月12万ね♪」
スマホをテーブルに伏せた。間取りは広くないし、この賃貸の契約者は僕だ。第一、同居は僕らの都合で決めることだ。
「同居の予定はないよ。手伝いは気持ちだけ受け取る。来るなら短時間で、事前に連絡して」
やんわり返すと、すぐ既読がついた。
「え、助かるでしょ? お金も“赤ちゃんのため”だよ?」
その言い回しに首をひねった。金額も同居も、勝手に決めないでほしい。
「合鍵ちょうだい♡」の次の一手
断った翌日、今度は一文だけ。「合鍵ちょうだい♡」。さらに「来客用の駐車場、私たちのトラックで使っとくね♪」と、勝手に段取りを始めた。
このままだと押し切られる。僕は管理会社に電話し、担当者に経緯を伝えた。返ってきたのは、建物の明確なルールだ。
- 居住者を追加するには、契約者の届出と承認が必要
- 大型搬入は事前申請と予約、契約者の立会いが必須
- 無断の常時滞在や無許可の搬入は、警備が止める
「合鍵の受け渡しは絶対にしないでください。こちらでも記録します」と担当者。
胸の中のもやが、少し片付いた気がした。
義妹にはメッセージで伝えた。「同居も搬入も不可。荷物は受け取りません」。既読はついたが、返事はない。
「トラック来たから開けて♪」当日
土曜の午前、インターホンが鳴った。「引越荷物の搬入でーす」。
エントランスに降りると、義妹が腕を組んで立っていた。背後には段ボールを積んだトラック。来客用駐車場は占有され、別の車が入れず困っている。
「じゃ、サインして。今日から私の部屋はここね♪」
「搬入申請は? 立会いは契約者の僕ですが、許可していません」
その場で管理会社へコール。ほどなく制服の警備員と管理人さんが到着した。
管理人「荷物は受け取れません」
管理人さんが義妹に向き直る。「本建物は事前申請のない搬入はお断りしています。契約者の方が不許可ですので、荷物は受け取れません」
腕組みしていた義妹の手がほどけ、視線が泳いだ。
「え、家族なのに?」
「規約です。来客用駐車場の占有も違反ですので、直ちに移動してください」
運送会社の担当者が伝票を指で示した。「受取人不在(拒否)ですね。差出人さまへ返送手配します」
義妹は小声で「ちょ、待って。私、善意で——」と口ごもる。
「同居も金額も、あなたの都合ですよね。僕らは頼んでいません」
義妹は「じゃあ12万はナシ?」と最後まで言い出したが、管理人さんが続けた。
「ここでの金銭や鍵のやり取りは一切おやめください」
義妹はスマホを取り出し、誰かに連絡を入れ始めた。やがてトラックはUターン。来客用駐車場の無断使用は巡回記録に残され、以後の出入りは警備が注視することになった。
再配送料や待機料は差出人負担と運送会社に説明され、義妹は肩を落とした。僕が払う理由はない。
その夜、家族グループに義妹から長文が投下されたが、義父母は「産後の家に押しかけるのはやめなさい」とだけ書いた。そこから、義妹の連絡は止まった。
その後、合鍵は渡さない
妻はほっとした顔で赤ちゃんを抱き、僕はドアチェーンを確かめた。
合鍵は渡さない。申請のない搬入は受け取らない。家のルールは、家族にも同じだ。
管理会社には改めて礼を伝え、非常連絡先を冷蔵庫に貼った。あの騒ぎ以来、インターホンの音に身構えなくなった。
さいごに
「家族だから」が合言葉になると、疲れるのはいつも受ける側です。今回は、ルールと第三者の力で守れた例でした。産後の家での“善意の押し売り”、しんどいですよね。いざという時、あなたは誰に相談しますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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