母の物忘れが本格的になってきた去年の秋から、姉とのやりとりが少しずつ噛み合わなくなってきた。
何かがおかしい。
そう感じながらも、うまく言葉にできないまま、帰りの新幹線に乗る日が続いている。
「私が全部やってる」──でも、何をやってるの?
姉は実家から車で15分ほどの場所に住んでいる。
たしかに近い。それだけで、どれだけ助かっているかは想像できる。
でも、電話で話すたびに出てくる「私が全部やってる」という言葉の「全部」が、いつも曖昧なままで終わる。
「先週も病院に連れていったし」
「ゴミ出しの確認もしてる」
それは本当にありがたい。
でも、通帳の残高を聞くと「今ちょっと忙しいから」とかわされる。
実印の場所を確認しようとすると、「私が預かってるから大丈夫」と話を打ち切られる。
大丈夫って、何が?
姉が母のために動いてくれていることには感謝している。
でも、お金のことになると、なぜか話が見えなくなる。
そのことが、ずっと引っかかっていた。
費用は「折半」。でも相続は「平等じゃない」?
母の施設を見学するため、有給を使って新幹線で帰った。
交通費は往復で2万円近い。
それでも、母のことだから行かないわけにはいかない。
見学当日、施設の方との面談をてきぱきと進めた姉は、帰り際にさらっと言った。
「入居費の初期費用、折半でお願いね」
折半。
その一言だけが、やけにクリアに聞こえた。
施設にかかる費用は半分ずつ。
私が帰省するために使っている新幹線代や、有給を取って動いている時間は、当然ながらそこには含まれない。
それ自体は仕方がないのかもしれない。
でも、後日、姉から届いたLINEを見て、私はまた引っかかった。
「そっちは交通費もかかってるんだろうけど、私はずっと近くで母のことやってるじゃない。相続まできっちり半分っていうのは違うと思う」
何度も読み返した。
費用は折半。でも相続は、自分のほうが多くて当然。
そういう意味にしか読めなかった。
姉が近くで動いてくれていることはわかっている。
だからといって、相続の割合まで姉が一人で決める話なんだろうか。
そもそも母に今どれくらいのお金があって、何にいくら使われているのか私はほとんど知らない。
「ちゃんと通帳、見せてもらえる?」
次の電話でそう聞いてみた。少しの間があった。
姉は、「……今すぐは難しい」と言った。
「なんで?」そう聞いても、「ちょっと今、整理できてないから」と曖昧な返事が返ってくるだけだった。
相続の話はするのに、今ある財産の話はできない。
そのことのほうが、私にはずっと不思議だった。
決定事項は、いつも事後報告
施設の入居が正式に決まったと知ったのも、姉からのLINEだった。
「来月から入ることになったから。費用の件はまた話し合おう」
あれ。私も一緒に決めるんじゃなかったっけ。見学には行った。意見も伝えた。
でも、最終的に「決めた」のは姉で、私は結果だけを知らされる形になっていた。
母のことを思えば、早く安心できる場所に移れるのは良いことだ。
それはわかっている。
姉が近くにいるからこそ、すぐに動けることも多い。
費用を出すときは「二人で半分ずつ」。でも、大事なことを決めるときは姉が中心。
そして相続の話になると、「私のほうが世話をしているんだから」と言われる。
少しずつ、私だけが蚊帳の外に置かれているような感覚が強くなっていった。
問い詰める言葉が、見つからない
姉のことが嫌いなわけじゃない。
実際に近くにいて、母のために動いてくれている。
それは事実だと思うし、感謝もしている。
だからこそ、強く言いにくい。
「私が全部やってる」
そう言われると、遠くに住んでいる私には何も言う資格がないような気さえしてしまう。
でも。
通帳の中身を見せてもらえないまま、費用は「折半」と言われること。
施設の入居を事後報告されること。
そして「私のほうが世話をしているんだから、相続も多くて当然」という前提で話が進んでいくこと。
それをおかしいと思う気持ちも、ちゃんとある。
母のことで姉妹が揉めたくない。
そう思えば思うほど、言いたいことが言えなくなる。
今日も結局、モヤモヤだけを抱えたまま家に帰ってきた。
さいごに
介護が始まると、近くに住んでいる家族に負担が偏ることがあります。その負担が大きいことも、感謝されるべきことも間違いありません。
でも、近くにいる人が多く動いていることと、家族のお金や大切な決定を一人で抱え込むことは、同じ話ではないはずです。
大切なことほど、家族の間で共有してほしい。
同じようなもどかしさを感じたことはありませんか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう、固有名詞や一部の状況に変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。



コメント
ぐだぐだを読まされただけで何の解決もせず、ためになる知識があるわけでもなかった。
なにこれ?