うちの職場には、特別意地悪な人がいるわけじゃない。でも、毎日じわじわと心身を削られる。
それに気づいたのは、入社して何年も経ってからのことだった。
「まだ結婚しないの?もったいないね〜」があいさつ代わり
月曜の朝、コーヒーを淹れていると始まる。
「○○さんって彼氏いるの?まだ結婚しないの?もったいないよ〜」
悪気はない。むしろ気にかけてくれているつもりなのだと思う。だから余計に困る。
「いやあ、なかなか(笑)」と返して、話題を変える。それが私の定番の返しだった。
でも、これが週に何度もやって来る。ランチでも、エレベーターでも、ちょっとした立ち話のたびに。——慣れるかと思っていたけど、慣れなかった。
「子どもいないと楽でいいね♪」、笑えばいいの?
既婚の同僚が育児で早退した日、50代のベテラン先輩がこちらに話を振ってきた。
「あなたは子どもいないから楽でいいよね。残業も頼みやすいし」
悪口じゃない。嫌味でもなんでもない日常会話のひとつみたいなトーンだった。
でも私の中では、何かがズンと沈む感覚があった。
子どもがいないから、楽というわけではない。そもそも、それをあなたに説明する義務も私にはない。——そう思いながら、また「そうですね〜(笑)」と返した。
愛想笑いって、本当に便利だと思う。相手を傷つけることはない。……でも、自分は確実に傷ついてる。
「若いうちは残業できるでしょ」で、何かが壊れそうになった日
残業続きだったある金曜の夕方、定時を過ぎても帰れない私に、別の先輩(40代)がさらっと言った。
「若いうちは体力あるからいいよね。私たちの年になるとさあ……」
……若ければ残業が苦にならないわけじゃない。私にも疲れる夜はある。帰りたい日もある。でも「若い」というレッテルを貼られた瞬間に、それを言う場所がなくなる気がした。
その夜、帰り道に何となく同期にLINEを送った。「なんか今日しんどかった」とだけ。
同期の「私もずっと嫌だった」
すぐに返信が来た。
「わかる。私もずっと嫌だった。でも言えなくて、とりあえず笑ってた」
たった2行だった。
解決策も、アドバイスも、何もなかった。「嫌だったよね」の共感だけ。
なのに、なぜか涙が出そうになった。——あ、私だけじゃなかったんだ。
愛想笑いを続けているのは私だけじゃなかった。同じフロアで、同じように「そうですね〜(笑)」と返し続けている人がいた。それだけで、なぜかすごくホッとしてしまった。
職場は何も変わっていない。来週もきっと、同じ発言が飛んでくる。でも今は、帰り道に「今日もしんどかった」と送れる相手がいる。それだけで、少しだけ軽くなった気がした。
さいごに
悪意がないぶん、「嫌だ」とも言いにくい——そのもどかしさは、経験した人にしかわからないですよね。それでも「わかる」とひと言もらえるだけで、こんなにほっとできることがある。あなたの周りにも、同じように笑って流している人がいるかもしれませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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