園の送迎が終わると、決まって「ちょっとお茶しない?」と声がかかりました。
相手は園でも顔が広い、いわゆるボスママのAさんです。
最初は仲良くなれるかもと思いましたが、送迎後の流れがいつの間にか「みんなでカフェに行くのが当然」になっていきました。
無理して合わせていた日々
行き先はいつも駅前の高単価カフェでした。コーヒーだけで900円、ケーキを足すと1,800円近くになります。週に2回ほど誘われ、そのたびに「園の情報交換もできるし」と自分に言い聞かせていました。
けれどAさんは、メニューを開く前から「ここの季節のタルト、絶対頼んだほうがいいよ」と決め打ちで勧めてきました。
私は水だけでもいいと言い出せず、結局セットを頼んでしまいました。帰宅して家計簿を見るたびにため息が出ましたし、子どもの習い事の月謝日と重なる週は特に苦しかったです。
断ろうとすると空気が止まることもありました。「え、今日も来ないの?」と冗談めかしつつ視線が集まり、結局笑ってついていく、を何度も繰り返していました。
一人で断ると決めた理由
ある日、私は「今日はこのあと買い物があるので」とやんわり抜けようとしました。
ところがAさんは、当然のように店へ向かいながら少し眉を上げて「え、みんな行くよ?」と周りを見ました。その日は私以外にBさんとCさんもいて、断ると私が流れを止めてしまう形になりました。
私たちはそのまま店内に入り、席に案内されそうになりました。
Aさんが店員さんに人数を伝えようとして手を挙げたので、私は慌てて「私は今日は遠慮します」と重ねました。
するとAさんの表情が固まりました。間を埋めようと私が「今月ちょっと出費が続いていて」と言いかけたところで、Aさんが被せるように言いました。
「このくらい払えないの?」
胸が熱くなりました。
言い返したいのに声が出ず、私だけでなく旦那や家族も馬鹿にされた気がしました。
実は同じ気持ちだった人たち
その週から私は、送迎後に「今日は用事があるので、ここで失礼しますね」と短く言って帰るようにしました。理由は言わず、笑って手を振るだけにしました。
すると数日後、BさんからLINEが来ました。
「実は私もきつくて…。あなたが先に帰ってくれたのを見て、断ってもいいんだって思えた」と。
私は「Bさんもそう思ってたんだね。私だけかと思ってた」と返しました。
次の週、Aさんがいつものカフェに向かおうとすると、Cさんが一呼吸おいてから
「この前も言えなかったんですけど、今日は子どもの迎えまでにスーパー寄りたいので、私は帰りますね」とさらりと言いました。
Bさんも「私も今日は家でやることがあって」と続きました。
みんな、言えなかっただけだったのだとそのとき分かりました。
残った心地よい関係
それでもAさんはしばらく「じゃあ一人で行ってくる」と言って高単価カフェに入っていきました。
無理に引き止める人は誰もいませんでした。
代わりに私たちは、園の近くのベーカリーのイートインや、ドリンクが300円台のチェーン店で短く話すようになりました。長居をしない分、話題も軽く、帰宅後の罪悪感も減りました。
Aさんとは園で会えば挨拶をしますし、必要な連絡も普通にします。
ただ、送迎後の流れに私の家計に影響を受けないような距離感ができました。
あの時勇気を出して断ったことで、無理をせずに気楽に笑える友だちができました。
あのカフェの入口で立ち止まれた自分を思い出すたびに、肩の力がすっと抜けていきます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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