土曜の夕方、幼稚園の年中の娘を連れて家族で、近所のファミレスに入りました。
私はパート帰りで少し疲れていましたが、家族で外食できるだけで気持ちは軽くなるはずでした。
ところが、混雑した店内での待ち時間が、居心地の悪い時間になってしまいました。
注文を待つだけなのに重くなる空気
その日は入り口に人が並び、席に案内されるまで少し待ちました。
ようやく通された席で呼び出しボタンを押しても、店員さんが来るまで数分かかりました。
夫は腕を組み、テーブルを指でトントンと叩き始めました。
私は「今日は混んでいるから仕方ないね」と娘に話しかけ、空気を和らげようとしました。
ただ夫は、仕事帰りで空腹だったのもあるのか、待つこと自体が苦手なのか、最初から眉間にしわが寄っていました。
周りの家族連れが楽しそうにしているほど、夫の不機嫌さだけが浮いて見えて、私は早く注文を済ませたい気持ちでいっぱいでした。
夫の横柄さが店員さんに向いた瞬間
ようやく来てくれた店員さんに注文を伝え、続けてドリンクバーの場所と子ども用の取り皿をお願いしました。
店員さんはメモを取りながら「少々お待ちください」と丁寧に頭を下げましたが、次のテーブルにも呼ばれていて、すぐに動かなければならない様子でした。
その背中を見送った直後、夫が不満げに舌打ちをして、通路を急ぎ足で通る同じ店員さんを手で制しました。呼び出しボタンがある店なのに動線を止める形になり、私はそれだけで顔が熱くなりました。
店員さんが立ち止まり「ただいま確認します」と言った瞬間、夫は周りにも聞こえる声量で言いました。
「使えない店員だな」
私は息が止まりました。
娘の手も止まり、店員さんの表情が一瞬固まったのが分かりました。周囲の視線がこちらに集まる気がして、私の胃がきゅっと縮みました。
娘の一言が刺さって
私は注意したいのに、ここで言い返して夫がさらに荒れるのも怖くて、言葉が出ませんでした。何より目の前の店員さんをこれ以上困らせたくありませんでした。
そのとき娘が夫の顔をまっすぐ見て、小さな声で言いました。
「パパ、先生がね、『ありがとう』が言えない人はカッコ悪いって言ってたよ? パパ、カッコ悪い大人になっちゃったの?」
夫は口を開けたまま固まりました。私も驚きましたが、怒鳴るでも責めるでもなく、子どもらしい言葉で核心を突いていて、胸の奥のつかえが少しほどけました。
気まずい沈黙のあと、夫は視線を泳がせて咳払いをし、先ほどの店員さんを呼び止め直しました。そして小さめの声で「さっきは悪かった。取り皿、お願いします」と言いました。店員さんは一度だけうなずき、「承知しました」と答えて足早に厨房のほうへ戻っていきました。
その夜から夫の態度が変わりました
ほどなくして取り皿が届き、続けてドリンクバーの説明も改めて案内してもらえました。
夫はぎこちないままでも、店員さんに向けて「ありがとうございます」と言いました。
私も店員さんへ「助かります、ありがとうございます」と頭を下げ、娘には「今のお話、教えてくれてありがとうね」と小声で伝えました。
帰り道、夫は「子どもに言われると刺さるな」とぽつりと言いました。
私は説教はせず、「次からは店員さんに威圧的な言い方はやめてね」とだけ伝えました。夫は少し黙ってから「分かった」と短く返しました。
それ以来、外食で待たされても夫は強い言い方をしなくなりました。
完璧に穏やかになったわけではありませんが、イラッとしたときほど先に「お願いします」と言うようになりました。勘違いして偉そうにしていた空気を、娘がすっと正してくれて、私の恥ずかしさも救われた夜でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

コメント