朝の会議室。コーヒーのにおい、配られた資料、軽い雑談。そこで同僚の弾んだ声が上がった。「報告です。入籍します!」私は「おめでとうございます」と言った。
「入籍します!」拍手のあとに
拍手。上席も「いいね」と笑い、彼女は指輪を見せた。ここまでなら、ただの明るい雑談だった。
次の一言までは。
「お相手、別部署の管理職でね。今は家庭があるから、ここだけの話でお願い♡ もう離婚の手続き中だし、すぐ籍入れるから」
隣の席の手が止まり、前の人がマグをそっと置いた。上席は一拍おいて「では議題に」と進行を戻す。
「内密で♡」と言われた昼のざわつき
昼休み、給湯室で別の同僚が小声で聞いてきた。「知ってた?」
「知らない。仕事には関係ないし」と返すと、「でも社内の人でしょ。人事には言うのかな」と心配顔。
そのとき社内チャットの通知。「そのうち苗字が変わるかも。先に呼び方慣れてね♡」と彼女。既婚と聞いたばかりの人の“苗字”。画面を閉じて、温かいコーヒーを一口飲む。去年のコンプラ研修で、社内の関係は申告と公私の切り分けと聞いたのを思い出した。私が裁く話じゃない。でも、朝礼で「内密」と言ってくるのは、違うと思った。
「その話は受け取れない」と決めた
沈黙は賛成にも反対にも見える。だから、自分の動きを決めた。
仕事の相談はいつも通り受ける。個人的な話を振られたら、「わからないです」「その話は聞かないでおきます」で止める。チャットの新しい“苗字”には反応しない。呼び名は名札どおりに呼ぶ。おめでとうは朝に一度だけ伝えたから、繰り返さない。
夕方、彼女がデスクに来て「今度ランチで詳しく話そうよ」と笑って言ってきた。私は手帳を見て、「今は立て込んでるから、また今度」とだけ返した。余計な説明はしない。業務連絡は通常運転、雑談は浅め。私ができるのは、それだけだ。
帰り道、朝の拍手と彼女の「内密でね♡」が頭の中で交互に再生された。正解はわからない。でも、職場に持ち込まれた“内密”に私まで巻き込まれないよう、明日も同じ距離で対応しよう、と決めて家のドアを開けた。
さいごに
うれしい報告のはずが、ひと言で場の温度が変わる。職場では起きがちな戸惑いです。祝福とモヤモヤが同時に来たとき、無理に白黒つけなくてもいいのかもしれませんね。
距離の取り方は人それぞれ。受け止めきれない話題に、あなたならどこで止めますか?「おめでとう」を何回までにするか、決めていますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。



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