交際8ヶ月。「男が払うのは当然でしょ」が口癖の彼なのに、なぜか私の財布だけが減り続けていた。そのおかしさに気づいたのは、彼の友人グループと初めて顔を合わせた夜のことだった。
「割り勘なんてありえない」と言いながら…
付き合い始めた頃から、彼の涼介は何かにつけて「男が全額出すのが当たり前」と言っていた。
最初は頼もしいと思った。でも実態は違った。
財布を出すそぶりをするのに「今日ちょっと手持ちが…」と毎回つぶやく。旅行の宿代は「先におさえといて、後で渡す」と私が立て替え、食事の時の会計もいつの間にか私。気づけば8ヶ月で積み上がった立替総額は、軽く20万円を超えていた。
「返す」という言葉だけが増えて、お金が戻ってきたことは一度もなかった。
「で、お仕事は何してるの?(笑)」
問題になったの夜は、涼介の旧友たちとの飲み会の2次会だった。
居酒屋の個室に6人。涼介の友人たちはみんな30代で、初対面の私を品定めするような視線を向けてきた。
「涼介の彼女さんって、どちらにお勤めで?」
穏やかな問いかけに見せかけて、目は笑っていない。答えを待たずに隣の友人がくすっと笑い、こう続けた。
「まさか、フリーターとかじゃないですよね?(笑)」
テーブルに小さな笑いが広がった。涼介は否定しなかった。
——ああ、そういう場所なのか。
怒りというより、すとんと冷えていく感覚があった。
黙って、バッグに手を伸ばした
反論しようとは思わなかった。
大声で言い返しても、この場では何も変わらない。それより、ずっとポーチに入れていたものを出すタイミングが来た、とだけ思った。
名刺入れを取り出し、一枚をテーブルの中央にそっと置いた。
「よかったら、どうぞ」
それだけ言った。
一瞬、間があった。
涼介が名刺を手に取り、文字を目で追った瞬間——表情が固まった。隣の友人が覗き込み、「え」と小さく声を漏らした。
名刺には、国内でも知名度の高い法律事務所の名前と、「弁護士」という肩書きが記されていた。
「え、それって…本物?」
部屋の空気が、音を立てて変わった。
さっきまでニヤニヤしていた男たちが、急に姿勢を正し始めた。「いや、すみません、知らなくて」「冗談っぽく言っただけで…」と口々に言い訳を重ねる。
涼介は名刺を持ったまま、私の顔をまともに見られないでいた。
フリーターかもしれないと笑っていた相手が、実は弁護士だったというだけで、これほど態度が変わる。——むしろその変わり方が、すべてを物語っていた。
私は荷物をまとめながら、涼介にだけ静かに言った。
「立替分の明細、あとで送るね。内容証明とか、そういうの得意だから」
席を立つ私を、誰も引き止めなかった。
静かな終わりと、少しだけ軽くなった気持ち
翌日、涼介からLINEが来た。「昨日はごめん。ちゃんと話したい」という内容だったけれど、私の返信は短かった。
「立替分の合計、振込でお願いします。それで終わりにしましょう」
数日後、お金が振り込まれた日。スマホの連絡先から涼介の名前を消した。
「男が払うべき」と言いながら、実際には相手に払わせ続ける。その矛盾に本人が気づいていなかったことの方が、何より問題だったと思う。
あの夜から、気持ちが少しだけ軽くなった気がした。
さいごに
「男が払うのが当然」という言葉の裏で、実際には相手に負担を押しつけていたとしたら、それはただの矛盾です。職業で人を値踏みしてくる場面はつらいけれど、名刺一枚を静かに置いただけで空気を変えた彼女の落ち着きに、胸がスッとしました。あなたの周りにも、言葉と行動がちぐはぐな人、いませんか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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