結婚して10年以上経つのに、夫と外出するたびにどこかヒヤッとしている——そんな自分に気づいたのは、ここ数年のことだ。
悪い人ではない。むしろ根はやさしい。ただ、「場の空気を読む」という感覚が、根本的に備わっていないらしい。
来客中もスマホ、外食中もゲーム「え、今?」
友人が久しぶりに家に遊びに来た日のこと。
リビングでお茶を飲みながら話していると、夫がソファにどかっと座り、スマホを取り出してそのままSNSを見はじめた。
愛想を振りまくでもなく、会話に入るでもなく、ただひたすら画面を見ている。
友人は気を遣って笑顔を保ってくれていたけれど、私は内心「……頼む、せめて一言くらい話しかけて」と祈り続けていた。
外食のときも似たようなもので、料理が来るまでの間、夫はスマホゲームをした。
子どもが話しかけても「ちょっと待って」と一言。テーブルの上で肘をつきながら、ずっと画面を見ている。
席を立つときは椅子を引いたまま。店員さんへの返事は「あ、はい」だけ。
別に怒鳴ったり失礼なことを言ったりするわけじゃない。ただ、いないも同然——そんな感じがずっと続いていた。
「やめて」と言うたびに険悪になる繰り返し
最初のころは、そのたびに注意していた。
「来客中くらいスマホしまってよ」「外でゲームしないで」「椅子、引いたままだよ」。
夫の反応はいつも同じで、「別にいいじゃん」か「そんな細かいこと気にする?」。
こちらが真剣に言えば言うほど、夫は防御モードに入り、会話は険悪になる。
——伝わらないどころか、逆効果だ。
3年近くそれを繰り返して、私はだんだん「指摘すること」自体をやめるようになっていた。言っても変わらない、むしろ雰囲気が悪くなるだけ、と。
でも、諦めたわけじゃなかった。ただ、何かが違うんだと思い始めていた。
「やめて」を「もったいない」に変えた日
転機は、ある休日の外食帰りだった。
夫がいつものように食事中ずっとスマホをいじっていて、私はため息をのみ込んで黙っていた。でも帰り道、ふと言葉が変わった。
「ねえ、今日の料理おいしかったね。一緒に話しながら食べたかったな。なんかもったいなかった」
責めていない。禁止もしていない。ただ、「私はこう感じた」という話をしただけ。
夫は少し黙ってから、「……そうだな」と言った。
それだけだった。でも、次に外食したとき、夫は最初からスマホをしまっていた。
何も言っていないのに。
「やめて」は相手を責める言葉で、「もったいない」は一緒にいたいという言葉だったのかもしれない——そんなふうに、後から思った。
さいごに
「悪気がない」からこそ、指摘するのが難しい。そのもどかしさ、きっと伝わる人がたくさんいるはず。責めるより「私はこう感じた」と伝えるほうが、届くことがあるんですね。あなたは、パートナーへの「伝え方」で悩んだことはありますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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