義実家の玄関を開けた瞬間、なんとなく背筋が伸びてしまうのは、私だけじゃないはず。
悪い人じゃないとわかっている。でも、帰省のたびに「あの感じ」がやってくる。
「拭き方、こうじゃないと水滴が残るのよ」初日夜から始まる洗礼
到着してすぐの夕食後、食器を拭いて片づけようとしたら義母が横にすっと来た。
「ああ、うちはこっち側から拭くの。そのほうがきれいに仕上がるから」
悪意はゼロだと思う。むしろ親切心で教えてくれている。
でも、10年以上やってきた自分のやり方を、到着したその日にそっと訂正されるのは——なかなかこたえる。
黙ってやり直しながら、心の中でひたすら唱えた。
——ここは義母の家。ここでは義母のやり方がある。そう思って、なんとか気持ちを落ち着かせた。
翌朝は子どもの朝食に、昼は洗濯物の向きにひと言
2日目の朝。子どもにトーストと目玉焼きを出そうとしたら、
「この子、卵よりご飯のほうが好きじゃない?白いご飯と納豆にしてあげたら?」
わが子の好みを私より知っているかのような言い方に、一瞬言葉が止まった。
嫌いじゃないのは確か。でも今朝はトーストがいいって、昨夜本人が言ってたんだけど……。
お昼には、ベランダに干した洗濯物をこっそり干し直されていた。
「外から見たとき、タオルの向きが揃っていたほうが気持ちいいでしょう」
タオルの向きまで、気になるのか……。
義母の中には、家事の細かなこだわりがきちんとあるのだと思う。それがわかるからこそ、こちらもじわじわ疲れてしまう。
悪意がないとわかっているから、余計にしんどい
怒鳴られているわけじゃない。嫌みを言われているわけでもない。
ただただ「うちのやり方」を丁寧に教えてもらい続けているだけだ。
でも、それがかえってキツい。
反論するほどのことではない。怒る理由が見当たらない。
「ありがとうございます」と笑顔で受け取るしかなくて、その笑顔を作るたびに少しずつ消耗していく。
3日目になると、もう義母のルールに敏感になりすぎて、
義母がキッチンに近づくだけで体がビクッとするようになった。
——これ、もはやパブロフの犬状態では?
夫はというと、義母のルールを当たり前に育ってきたから気にもしていない。
「そういうもんじゃない?」と言われた日には、もはや笑うしかなかった。
——ここは私の家じゃない。その事実に立ち戻るだけで、少しだけラクになれる。そう言い聞かせながら、3日間をなんとか乗り切った。
帰省から戻った日の夜、自分のキッチンで、いつものように食器を拭いたとき、
ああ、帰ってきた——と思った。
さいごに
義母に悪気がないのはわかっている。それでも、気を張り続けて消耗するのも本当のこと。
「しんどかった」と誰かに言えるだけで、ちょっと回復できるかもしれませんね。
帰省疲れも、ちゃんとした疲れです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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