婚約者の姉「介護は外の女の仕事♪」→私「契約で進めます」した結果

       
体験談
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婚約者の姉「介護は外の女の仕事♪」→私「契約で進めます」した結果 体験談

休日の昼下がり、駅前のカフェで彼と向かい合った。婚約の段取りを詰めるはずが、「今日は姉も来る」と彼。胸の奥に、嫌な予感が生まれた。

「同居で介護、当然でしょ?」

「お待たせ」そう言って現れたのは、にこやかな彼の姉。席に着くなりメニューも見ず、私に身を乗り出して言った。

「で、同居はいつからにする? お母さん、最近ちょっと足が弱ってきててさ。あなた若いし体力あるでしょ?」

隣の彼も頷く。「俺の帰り、遅いからさ。日中、母さんのこと頼めると助かる」

頼む、という形だけど、もう決まっている口ぶりだ。私の返事を待つ気配はない。

「私の仕事は、どうしたらいいですか?」と聞くと、姉は笑って手を振った。

「手に職あるなら最高。昼は働いて、夜は介護。できる人がやるのが家族でしょ。家の用事は私もあるけど、細かいのはあなたのほうができるよね?」

無理、と思った。けれど、思ったことは口に出さず飲み込んだ。

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「遺産は家で分けるからね」

介護の段取りを勝手に提案したあと、姉の口からもう一つ。

「言っとくけど、遺産は家で分けるから。外の人に期待されても困るの。うちはうちのやり方があるから」

彼はコップをいじりながら、「そういうこと」とだけ添える。

「費用はこっちで全部管理するし、あなたはレシート渡してくれればいいから。ね?」

外の人、という言い方が刺さる。私は婚約の話をしている相手のはずなのに、最初から外側に置かれている。

私は一度うなずき、順番に確認した。

「同居での介護、費用の管理、私の仕事、そして相続。今日は、その四つの話で合っていますか?」

姉は満足げに頷いた。「話が早いの助かるわ」

「依頼なら契約で」名刺を置く

テーブルに名刺入れを出し、一枚を相手の前に置いた。

「私、行政書士です。相続と成年後見の書類作成を主に扱っています」

姉の手が止まり、彼が名刺をのぞき込む。「え?」と短く声が漏れた。

「まず、婚姻と相続は“家の決まり”ではなく法律で決まっています。婚約者や配偶者に、配偶者の親の介護義務はありません。基本はお子さんたちで話し合い、必要なら公的サービスを使います」

「それから、私に役割をお願いしたいなら“家族だから”ではなく依頼として。契約書に責任範囲と報酬、費用の流れを書きます。費用は現金の立替ではなく、口座引き落としか直接請求にしたほうがトラブルが少ないです。レシートを私に集めさせて管理、という形は受けません」

私は手帳を開き、クリアファイルから一枚取り出す。

「報酬の目安は、ここにあります。同行や書類作成の額も載せています。ゼロ円や“身内価格”ではお受けできません」

「相続は、原則は法定どおり。口約束で配分を決めても効力はありません。遺言や生前整理をするなら、手続きを整えて進めます」

声を張る必要はなかった。必要なことを一つずつ、机の上に置いていく。

「今日ここで私が決められるのは、結婚後の生活をどう作るか、だけです。介護は、公的サービスを早めに申請しましょう。地域包括支援センターに相談して、要介護認定、ケアマネさんと計画作成。私の同席が必要なら、依頼としてお受けします」

「ちょ、ちょっと待って…」

姉はストローの袋をいじり、目線を泳がせた。「そんな、堅い話にするつもりじゃ…」

彼が慌てて言う。「俺、外の人とか思ってない。姉ちゃん、言い方が強かっただけで」

「では、進め方を決めましょう」私は手帳を指で押さえた。「お母さまのサービス申請、いつにしますか。窓口は平日です。日時が決まれば、私の同席は業務として調整します」

姉はペットボトルの水を一口飲み、咳き込んだ。「えっと…予定、確認して連絡する」

彼はうなずく。「まず俺が電話する。申請に関して動くよ」

会計のとき、姉は名刺を名刺入れにしまい、会釈して先に店を出た。入店時の勢いは、もう見えなかった。

「同居は無理だ」と伝えた日

その後、彼は言葉を選ぶようになり、実家のことも「兄妹で話し合う」と動き始めた。公的サービスの申請も進んでいると連絡があった。

それでも、姉の「外の人」という言い方は胸に残った。名刺を出すまで、私の生活や仕事は“余力”扱いだったのも事実だ。

数日考え、私は彼に電話を入れた。

「同居はしません。介護の主役にもなりません。婚約は、一度白紙に戻したい」

受話器の向こうで、彼は長く息を吐いた。「わかった。俺も、ちゃんと向き合わなくてごめん」

指輪を返し、礼を言って別れた。職場に戻り、机の上に名刺入れを置く。私はまた、依頼者の書類に向かった。

さいごに

“家のやり方”より先に、ふたりの暮らしがあります。介護やお金の話は、早めに言葉にしたほうが楽ですね。

似た場面に心当たりはありませんか。あなたなら、どこから話し合いますか? 小さくても、一歩を可視化するだけで進みやすくなります。

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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