行きつけのネイルサロンで、見知らぬ女性の声が耳に入ってきた。たったそれだけのことなのに、帰り道、ずっと胸がざわついていた。
「あの会社の人と仲良くて♪」という一言
隣のシートの女性は、施術を受けながらスタッフと楽しそうに話していた。
聞くともなしに耳に入ってきた会話の中に、夫が勤める会社名と思われる言葉が混じった。
——気のせいかも。でも、なんか……似てる気がする。
夫の職場のある駅エリアの話、業界の雰囲気、「忙しいのに連絡くれて」という言葉。直接的な証拠なんて何もない。ただ、「あの会社の人と仲良くて♪」という明るい声だけが、頭の中でリピートされていた。
私はネイルチップを選ぶふりをしながら、横目でちらちら確認していた。
——これだけで疑っている私、みっともないな。
根拠はゼロだ。夫の会社はそれなりの規模があるし、同じ駅を使う人だっていくらでもいる。なのに、私の中の何かがずっとざわついていた。
サロンを出るまで、せっかくのネイルタイムが全然楽しめなかった。
帰り道でふと気づいてしまったこと
バスを待ちながら、なんでこんなに引っかかったんだろうと自分に問いかけた。
——いつから、夫が外で誰と仲良くしているか、私は何も知らなくなったんだろう。
最近、夫と「ちゃんと話した」のはいつだっけ。職場の話を聞いたのは? 一緒に笑ったのは?
思い返そうとして、うまく思い出せなかった。
見知らぬ女性への疑惑ではなく、「私たち、最近すれ違ってるな」という事実のほうが、じわじわと胸に広がっていった。
家に帰って夫の顔を見た。今日、サロンであったことも何も言わなかった。
ただ、「最近どう?」とだけ声をかけてみた。夫は少し驚いた顔をして、「まあまあかな」と返してきた。
それだけのやりとりだったけれど、久しぶりに目が合った気がした。
誰かを疑う前に、隣にいる人と向き合えているか——あの日のざわつきは、そこに気づかせるためだったのかもしれない。
さいごに
根拠のないざわつきが、じつは自分の内側を映していることってあるんですよね。見知らぬ誰かを疑う前に「夫とちゃんと話せていない」と気づいてしまう、その切なさ、わかる気がします。パートナーとの会話、最近どのくらいできていますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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