引っ越してきたばかりのころは、「感じのいい人かもしれない」と思っていた。でも、隣の区画に住む50代の女性との関係は、じわじわと奇妙な方向へ変わっていった。
最初は娘への声かけが、いつの間にか「引き離せない誘い」へと変わっていった。
「うちに来る?おもちゃいっぱいあるから」
庭先で3歳の娘と外遊びをしていたある午後、隣の女性が柵越しに話しかけてきた。
「本当にかわいいわねえ。うちに来る?おもちゃいっぱいあるから」
善意からの声かけ、そう受け取って最初は曖昧に笑って「ありがとうございます」と返した。でも、それが週に何度も続いた。
娘の名前を調べたのか、「〇〇ちゃん、こっちおいで」と直接呼びかけるようにもなっていった。娘はまだ幼く、知らない大人に名前を呼ばれると嬉しそうに反応してしまう。——これはまずい、と感じた。
「過保護ねえ」と小声で言われた日
この日も誘いをやんわり断ろうとした。「今日はちょっと……」「そろそろ戻ります」。でもそのたびに返ってくるのは、「遠慮しないでよ」「子どもはのびのびさせてあげなきゃ」という言葉だった。
まるでこちらの判断が間違っているかのように。
ある日、娘が柵に近づいたすきに、女性が「こっちにおいで」と手を伸ばした。娘が笑ってそちらへ歩き始め——思わず娘の手を引いた。「ダメ!」と声が出た。
女性は少し不満そうな顔をした。「過保護ねえ」と、小声で言ったのが聞こえた。
——過保護?自分の子どもを守ろうとして、過保護?
感情的に言い返したい気持ちはあった。でも、ご近所だ。毎日顔を合わせる相手と感情的にぶつかっても、状況はこじれるだけだと思った。
「こんなことで相談していいのかな」→支援センターに電話した
夫に話すと「注意しに行こうか」と言ってくれた。でも私が選んだのは、別の道だった。
市のホームページで見つけた「子ども家庭支援センター」に電話してみた。正直、迷った。でも、担当者はとても落ち着いた声で話を聞いてくれた。
「お子さんへの直接の呼びかけや、繰り返しの誘いは、親御さんが不安に感じて当然です。日時と内容を記録しておいていただけますか」
——あ、これは相談していい案件なんだ。
そう思ったら、少し肩の力が抜けた。担当者は「一度、状況を確認しに伺います」と言ってくれた。
訪問の翌日から、隣人の態度が変わった
数日後、担当者が隣人の家を訪問した。私は同席せず、内容も詳しくは教えてもらえなかったけれど、「お子さんへの関わり方について、丁寧にお伝えしました」と報告を受けた。
その翌日から、隣人の様子が変わった。
庭先に出ても、声をかけてこない。娘の名前を呼ばない。視線が合えば会釈をするだけで、すっと目をそらす。
最初の数日は「また来るかも」とびくびくしていた。でも、1週間、2週間と経っても、彼らからの接触はぴたりと絶たれた。
静かになった庭で、また娘と遊べるようになった
いまは、娘と庭に出るのが怖くない。
「ママ、お花さいてる!」と走り回る娘を、ただ笑って見ていられる。あの「また来るかな」というざわつきが消えた庭は、全然ちがって見える。
感情的にぶつからなかったのは、正解だったと思っている。あのまま私か夫が直接「やめてください」と言いに行っても、「善意でやっているのに」と逆ギレされたかもしれない。
専門家が間に入ることで、相手にとっても「個人の感情的な苦情」ではなく「公的な窓口が動いた事実」として伝わった。それが、あの静けさにつながったんだと思う。
さいごに
善意の顔をした「断りにくい関わり」ほど、じわじわと消耗するものですよね。感情的にぶつからず、公的な窓口を頼るという選択は、こういうときにこそ力を発揮してくれるのかもしれません。近くにいる誰かの言動が気になっているなら、まず一本電話してみる——そんな選択肢が、あなたにも届くといいなと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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