男性客「まとめて取りますんで」→私「皆さん待っているみたいで」→朝の列が落ち着いたワケ

       
体験談
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男性客「まとめて取りますんで」→私「皆さん待っているみたいで」→朝の列が落ち着いたワケ 体験談

湯気の立つ味噌汁と、甘いバターの匂い。家族で泊まった旅館の朝食会場は、眠そうな顔の人もいて、ゆっくりした空気でした。

娘が「パン食べたい」と言うので、夫と席を決めてからパン台の列に並びました。ちょうどそこに、年配のご夫婦が肩を寄せて待っていて、ガラスの向こうのクロワッサンを何度も見ていました。

「クロワッサン、もう出ますか」

私の前にいた老夫婦のうち、女性の方がスタッフに声をかけました。「クロワッサン、もう出ますか?」

スタッフは「今ちょうど焼き上がります」と笑顔。パン台の札には小さく「お一人様二つ程度でご協力ください」と書いてあります。焼きたてだから、みんな少しずつ楽しめるように、ということなんだろうなと思いました。

そのとき、隣の男性が山のようにクロワッサンを皿に積み始めました。数えてはいませんが、明らかに両手で持たないと落ちそうな量。老夫婦も私も、つい手を止めて見てしまいました。

「まとめて取りますんで」山盛りの皿

男性は私たちの視線に気づくと、「うち、人数いるんで。まとめて取りますんで」とだけ言って、列から出ようとしました。自分のテーブルに家族や同僚がいるのかもしれません。でも、いま目の前で「出ますか」と聞いていた人がいるのに、あの量はさすがに多すぎる。

私は直接は言い合いにしたくなくて、近くのドリンク台にいたスタッフに声をかけました。「皆さん、焼きたてを待っているみたいで……」

事情を察したのか、スタッフは小走りでパン台へ。私は老夫婦の後ろで見届けることにしました。

スタッフの一言「皆さまに行き渡るよう」

スタッフは男性の前に立ち、「恐れ入ります。こちら、皆さまに行き渡るよう、お一人ずつお取りいただいています」と落ち着いた声で伝えました。「一度お皿に取ったパンは衛生上戻せませんので、次からは人数分ずつお取りください」

男性は「いや、うちのテーブル五人で」と口をとがらせました。スタッフは札を指し、「こちらにご案内も出しております。先にお待ちのお客様がいらっしゃいますので、次回からご協力をお願いします」と続けました。

老夫婦は「あ、私たちは二つで」と控えめ。私は何も言わず、トングを持ったまま待ちました。

男性「取りすぎました」

男性は皿を見下ろし、「すみません、取りすぎました。次から分けて取りに来ます」と頭を下げ、そのまま自分のテーブルへ戻りました。スタッフはすぐに厨房から新しいバットを抱えて戻り、「お待たせしました」と追加。パン台の上にこんがり色のクロワッサンが並ぶと、列の動きが一気にスムーズになりました。

男性は自分のテーブルに戻ると、同席の人に小声で何か伝えていました。私の方をちらっと見て、「さっきはすみません」と一言。私は「いえ、すぐ出ましたし」と返しました。責め合いにならずに済んで、ほっとした。

朝の食堂が落ち着きを取り戻す

焼きたてを一つお皿に載せると、娘が目を輝かせました。「サクサクだね!」

夫は「最初からスタッフさんに言えばよかったな」とぽつり。確かに、バイキングは自分で取りに行く自由が魅力だけれど、同時にみんなで分ける場所でもあります。困ったときは、お店の人に任せるのがいちばんだと実感しました。

老夫婦はパンと野菜を少しずつのせて、向かい合って座っていました。男性のテーブルにもパンは行き渡ったようで、誰かが「熱いから気をつけて」と笑っていました。会場のざわめきは、いつもの朝の空気に戻っていました。

その後、旅の記憶に残ったこと

部屋に戻る途中、娘が「なんでいっぺんにいっぱい取っちゃだめなの?」と聞きました。「待ってる人がいるからね。順番に食べられるようにって、お店の人が考えてくれてるんだよ」と答えると、娘はうなずいて「じゃあ次も一個だけにする」と言いました。

旅行から帰って数日たっても、あのスタッフの動きの良さと声かけが思い出に残っています。誰かを責めるのではなく、ルールを示して、すぐに補充で支える。あの一言で、気まずさは長引かずに済みました。

さいごに

共有の場では「取れるだけ取る」より、次に利用する人への配慮が求められます。直接注意しにくい場面で、あなたはいつ店員や責任者へ相談しますか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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