夜に洗濯物を取り込んでいたら、スマホが震えた。表示された名前に手が止まる。半年前に私を振った元彼から。「久しぶり、元気?」
開かないで寝ようかと迷った。でも、未練はある。「元気だよ。どうしたの?」と返してしまった。
「久しぶり、元気?」に反応してしまう
返事はすぐ来た。「最近どう?」「最近よく行くカフェがあってさ」
続けて写真が2枚。おしゃれなカップと、店内の棚。柔らかい照明で、雰囲気は悪くない。
「いい感じの店だね」「今度連れてくよ」
その一言で、気持ちが少し浮かれた。別れてから謝りも説明もなかったのに、今さら何? と喉まで出かかったけれど、ここで怒るのも違う気がして、「そのうちね」とだけ返した。
「お茶しよ」の連打と急かし
そこからが妙だった。「来週どう?」「できれば今週がいいんだけど」
仕事の都合もあるしと濁しても、「30分でいいから」「駅前だから近いよ」と畳みかけてくる。
「なんでそんなに急ぐの?」と聞くと、「別に、ただの近況を話したいだけ」と軽い調子。
写真の店は駅前の新しいカフェだと彼は言う。「今キャンペーンやっててさ」「友達と行くと得なんだよね」
得って、何の? 頭の片隅で違和感が。彼は昔からクーポンやポイントを集めるのが好きだった。趣味の範囲なら構わない。でも、人を巻き込む押しが強くなると話は別だ。
2枚目の隅の札を拡大した
もう一度、送られてきた写真を拡大した。2枚目の棚の下、木枠の小さな黒板みたいな札。白い文字が並んでいる。
指でズームすると、読めた。「友達紹介5人で商品券」。
一度気づくと、同じデザインの札が他にも見つかった。つまり紹介キャンペーンの店。しかも「5人」という具体的な数字。彼が急ぐ理由、これか。
その部分だけ切り出して保存した。期待ではなかったと分かる。背筋が伸びる。
私「こういうの無理」→画像を送った
「ねえ、この写真のここ、見えてるよ」
切り抜いた画像を添えて送り、「こういうの無理。今後の連絡は控えて」と続けた。
すぐ返ってきた。「違う違う。誤解しないで(笑)」
私は既読だけ付けて、何も書かなかった。
数分もしないうちに、また来た。「少しだけ手伝ってくれたら、君に損はないから」「一回来てくれればカウントされるからさ」
「カウントだからさ」に本音が出た
その一言で決まった。「カウント」。やっぱり数合わせ。
「その言い方がすべてだよ。前のこともあるし、私はもう関わらない」
そう送ると、少し間があって、「前のことって何? 僕、悪いことした?」
別れ際の「他に好きな子ができた。君は友達で」。あの時も、彼は自分に都合のいい言葉しか選ばなかった。
「説明は要らない。これで終わりにするね」
そう書いて、通知をオフにした。迷いは消えた。
連投の言い訳、私はブロック
通知を切っても、アプリを開くと未読が増えていた。「助け合いでしょ」「別に怪しくないよ」「皆やってる」
その合間に「5人ならすぐ」という文が見えた。数が目的なのははっきりした。
「ブロックするね。もう連絡しないで」
短く送り、通話もメッセージも止めた。彼の名前は、一覧から消えた。
その後に聞いた誘いの行方
数日後、共通の友人から別件で連絡があった。話の流れで、「そういえば彼、最近あちこち誘ってたよ」と聞く。
新しい職場の人や、昔の同級生に片っ端からメッセージを送っていたらしい。最初は雑談で始めて、最後に紹介の話を出すパターン。グループチャットでも同じ調子で声をかけて、そのうちの一人に注意され、本人が退出したと聞いた。
私は「へえ」とだけ返した。深掘りする気はなかった。写真の隅に出ていた札が、すべてを説明していた。
土日の午後、別の友人と入ったカフェで、メニューをゆっくり選んだ。誰かの都合に合わせて急かされる時間は、もうやめると決めた。
私の今と、小さな決めごと
それ以来、昔の知り合いから「久しぶり」と来たら、まず用件を聞くことにした。「何の話?」と短く。そして、返ってきた言葉で判断する。
懐かしさや好奇心は悪くない。でも、目的が別の場所にあるなら、そこで終わりにする。写真の隅の小さな札に気づけたくらいには、自分の時間を大事にしたい。
さいごに
甘い挨拶の裏に、別の目的が隠れていることってあります。写真の端っこ一枚で、モヤモヤが解けることもあるんですね。
懐かしさに流される前に、自分の都合を思い出せたら十分。あなたなら、こんな誘いが来たらどう返しますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。



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