「食費は月2万8千でいけるだろ?」家計を丸ごと夫に任せた 30日目のレジ前で止まった手

       
体験談
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「食費は月2万8千でいけるだろ?」家計を丸ごと夫に任せた 30日目のレジ前で止まった手 体験談

夕飯の土鍋を挟んで向かい合う私たち。共働き、子どもはいない二人暮らし。家計も家事も私が回してきたけれど、この夜の夫の一言で、胸の中に小さな火がついた。

「食費、月2万8千で余裕だろ? 二人なんだし」

「食費、2万8千で余裕だろ?」

最初は聞き流そうとした。でも続きが刺さった。

「米と卵ともやしで十分。俺のビールは小遣いだからノーカウントな」

ビールは別だからいいだろ、みたいな顔で言われて、箸が止まった。私は普段の買い物メモを見せた。米や調味料を買う週は膨らむこと、野菜が高い週もあること、外食を減らしているぶん自炊が増えていること。

「いやいや、その程度なら工夫でいけるって。お前、買い過ぎなんだよ」

工夫でいける。なら、やってみる? の言葉が喉元まで来て、いったん飲み込んだ。

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「じゃあ今月はお任せで」

翌朝、私は食費用の財布と、近所の特売日を書いたカレンダー、いつも買う基本の食材リストをテーブルに出した。

「じゃあ、今月はお任せするね。買い物も献立も調理も。私の残業の日は簡単でいいから」

夫はにやりとした。「任せろ。2万8千でやってみせる」

邪魔はしない。米や調味料の在庫場所、冷凍庫の使い方、レシピ本も全部伝えた。私は普段どおり働き、夫の作る夕飯をありがたく食べた。

1週目は、量は控えめだけど形になっていた。味噌汁が多めで、メインは鶏むね。夫はノートに出費を書き、残り額を小さく計算していた。

2週目、油・砂糖・だしが切れた。レシートを見て夫が小声で「こんなにするの?」。仕事帰りにコンビニでお惣菜を足した日もあり、財布の千円札が減るたびに眉間にしわが寄った。

3週目、「週末にまとめて買う」と言っていた日が野菜も肉も高い日に当たった。夫は計算機を叩き、カゴから刺身を棚に戻し、また取って、また戻す。私は横で何も言わない。自分の言葉の重さは、自分で確かめてもらうしかないと思った。

4週目、冷蔵庫は軽く、米びつの底が見える。夫は「今週はもやし多めでいこう」と笑ってみせたけれど、ノートの残額は心もとない数字になっていた。

レジ前「足りない、どうしよう」

月末の30日、二人でスーパーへ。必要なものをカゴに入れていき、夫は最後にビールを迷いなく乗せた。

レジの表示が進み、合計が出た瞬間、夫の手が止まった。財布を開け、紙幣を数え、硬貨をすくってまた戻す。

「…足りない。どうしよう」

列の後ろからため息が聞こえ、夫は小さく会釈。私にだけ聞こえる声で言った。

「悪い、ちょっとだけ出してくれない?」

私は首を横に振った。

「今月はお任せって言ったよね。足りないなら、どれを諦めるか決めて。『ビールは小遣いでノーカウント』って自分で言ってたよ」

夫は一瞬こちらを見て、ビールを手に取り、お会計を止めてもらった。さらにお菓子を一つ戻し、合計が手持ちに収まるように調整。会計を済ませると、レシートを握る手のひらが汗で湿っていた。

「これじゃ回らない」と小声に

帰宅してテーブルに広げたのは、この1か月分のレシートの束。私は家計ノートを開いた。週ごとの出費、米や調味料が重なった週の負担、外食ゼロで増えた自炊の量。

夫はペンで数字を追い、肩の力が抜けたように息をついた。

「これ、2万8千じゃ無理だ。俺、見込み甘かった。お前のやりくり、全然無駄じゃなかった」

謝罪の言葉は要らないと思っていたけれど、その一言は正直にうれしかった。

「来月からどうする?」

「予算、上げよう」夫の提案

「予算を上げよう。週いくらって決めて、足りなかったら何を減らすか二人で相談する。買い物は交代、料理も半分やる。俺、まとめ買いのコツも覚える」

翌週から、二人で決めたやり方に切り替えた。週の目安額をノートに書き、買ったものはレシートを貼る。特売日は夫がチェックし、私は作り置きを担当。ビールは食費ではなく夫の小遣いのまま。ただし、月内の回数は自分で管理する、と彼が言い出した。

「これなら数字も気持ちもズレないな」

前は「安い」「高い」の印象で口を出していた夫が、いまは「今週は油を買ったからメインは鶏むねにしよう」と自分から提案してくる。献立会議みたいな時間が、少し楽しみになった。

「無理は無理。必要は必要」

1か月の“お任せ”で分かったのは、手間とお金の流れを実際に回してみないと見えない部分があること。私も抱え込みをやめられたし、夫も台所の段取りを覚えた。

「無理は無理。必要なものは必要」

今は、その当たり前を二人で確認しながら暮らしている。

さいごに

数字だけで片づけた一言は、ときに相手の毎日を軽く見てしまいます。やってみて分かること、任せて気づくこと、ありますよね。

家の中の当たり前を入れ替えてみると、話が早くなることも。あなたなら、どの家事を一度、相手に丸ごと任せてみますか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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