約束の時間に合わせて家を出た。風が少し冷たくて、胸の奥に引っかかる感じが残ったまま、駅へ向かった。
グループの中心にいるママ友・Mさんの朝のメッセージが、頭から離れなかった。
「子どもが熱で…ごめんね」
当日の朝、Mさんから「子どもが発熱で…本当にごめん、今日は無理」と連絡がきた。
予約は5名でコース、当日の人数変更は不可だと聞いていた。幹事のAさんは「4名で行こう。費用は後で精算しよう」と落ち着いて返してくれたけれど、私は不安が消えなかった。
というのも、Mさんは「みんなで」と言いながら、気づけば内輪だけで別日に集まっていたことが何度かあったから。指摘すると「たまたまだよ〜」と笑っていた。今回も同じことは考えたくない。そう思いながら改札を抜けた。
「え、今の写真…?」
電車を待つホームでスマホが震えた。表示はMさん。開くと、明るい店内で丸テーブルを囲む集合写真。「いただきまーす!」のスタンプつき。
一瞬、画面を見る手が止まった。写真の黒板には今日の日付、壁の時計は今の時刻。どう見ても“今ここではないどこか”で、別のランチが始まっている。
「送信先、違ってるよ」と打ちかけて、私は一拍置いて画像をスクショで保存した。Aさんにだけ「今こんな写真が来たよ。どうしよう?」と短く共有。Aさんからは「一度だけ、グループで確認しよう」と返ってきた。
「その写真、今日の?」とだけ聞いた
店に向かう途中、AさんがグループLINEに送った。「Mさん、さっきの写真、今日のもの?」
私は続けず、口を挟まなかった。余計な言い合いにしたくない。
既読が並ぶ。Mさんからは既読だけがつき、しばらくして「送信ミス!昨日の写真だよ」と返ってきた。
でも、あの黒板には今日の日付がはっきり写っている。そこでAさんが続けた。「日付と時計が写ってたよ。あと、予約の件はキャンセル料がかかるから、後日でいいのでMさんの分はお願いね」
私はそれ以上は何も送らなかった。確認は一度だけ、の約束どおり。
「ごめん、実は…」長い言い訳
数分後、Mさんから長文が届いた。子どもは元気なこと。前から別グループと約束があって、人数が多いと店に悪いと思ったこと。だから今日は抜ける口実にしたこと――要するに嘘だった。
Aさんは短く返した。「事情はわかったよ。今後は正直に。今日は4名で楽しむね。精算はまた連絡するね」
ほかのメンバーも「この日は行けないって言われたから今日、予定を空けたの。正直ショック」と一言。以降、トークは止まった。
「キャンセル分だけでいいよ」
店に着くと、スタッフさんに「1名来られなくなりました」と伝えた。コースの当日キャンセルは条件どおりの支払いになると説明を受け、Aさんが代表で了承。私たち4人はそのまま席に着き、運ばれてくる料理を普通に楽しんだ。
帰り道、Aさんにスクショとやり取りを渡し、後日の精算に備えることにした。グループに写真は上げない。自分の思い出用に一枚だけ手元へ残せば十分だと思った。
その夜、Mさんから個別に「本当にごめん。キャンセル料とか、全部払う」とメッセージ。Aさんは「キャンセル分だけでいいよ。店の規定どおりで」と返し、翌日にはAさんの口座に指定額が振り込まれていた。
送迎で会った日の小さな会話
翌週、園の送迎でMさんと鉢合わせた。私を見るなり、小さな声で「この前はごめんね」と頭を下げた。
「もう気にしないで。子どもの体調を理由にするのはやめよう。みんな本気で心配するから」
私がそう言うと、Mさんは何度も頷いた。それ以降、あの“内輪だけ”の集まりは止まり、グループでは必要な連絡が淡々と回るようになった。
距離を見直したら楽になった
私自身も距離を見直した。大人数のランチは、気が向いたときだけ参加。気の合う少人数で、公園で話をするほうが合っているとわかった。
あの日のスクショはスマホに残してある。でも開かない。誰かを追い詰める道具にするつもりはない。ただ、迷ったときに自分の判断を守るためのメモとして置いておく。
さいごに
子どもの体調を口実にした嘘は、小さく見えても人を傷つけます。事実を示して一度だけ確認する、それで流れが整うこともありますね。
同じようにモヤッとした経験、ありませんか? 距離の置き方や参加の仕方、あなたならどう決めますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。



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