親子遠足のしおりをめくりながら、胸がざわついた。手順も集合時間も全部書いてあるのに、クラスの保護者LINEでは別の指示が飛んでいる。「先生とは私が連絡するから」——と言い切るママ友がいるからだ。
「先生とは私が連絡するから」
きっかけは、同じクラスのママ、彩香が「遠足の連絡グループ作ったよ」と招待してきたこと。上の子がいるから慣れてる、と自信満々だ。
「園への質問は私にまとめて送ってね。上の子のときも私がまとめてたし、先生にもその方が助かるって言われたから」
送迎時に会ったときも、彼女はスマホを掲げて得意げ。私は「そうなんだ」と受けながら、しおりの太字を思い出す。「各自、園のアプリをご確認ください」。代表者なんて必要なのかな、と思った。
「『急いでるよ』の連投と押し付け」
それから数日、グループはにぎやかになった。出欠の取りまとめ、現地で配る名札の作成、持ち物のチェック表づくり。どれも園から全員に出ている内容だ。
「名札、○○さん(私)デザイン得意だよね? 明日の朝までにお願い。先生が急いでるよ」
明日の朝まで? 私は在宅の納期が重なっていた。「先生が急いでるよ」が何度も出るのも気になる。私は園のアプリから担任へ、「名札は各家庭でよいですか。まとめて提出は必要ですか」と問い合わせた。
すぐに返事が来た。「名札は各ご家庭で。提出も各自で大丈夫です。取りまとめはお願いしていません」
やっぱり。私は画面をスクショに残し、胸のモヤモヤがひとつ消えた。
「『うちは抜けます』と告げた夜」
その夜も、彩香は勢いを増していた。「出欠、まだ返してない人いるよ? 今夜中に私にLINEして。先生がね—」
私はグループに書いた。「出欠は園のアプリに送ります。うちはしおり通りに動きます。なので、このグループは抜けますね」
既読が増え、「勝手にされたら困るよ?」と返ってきた。私は「園へは各自で、と確認しています」とだけ伝え、退室をタップした。
数分後、個別にママ友の恵からメッセージが来た。「私も違和感あった。抜けるね」。後日聞いたのだが、続いて数人が順番に退室したらしい。翌日の送迎でも「園からの案内だけで十分だよね」と他のママさんから言われた。
「前日の変更、彼女だけ知らず」
遠足の前日、園のアプリにお知らせが届いた。「工事のため正門が使えません。集合は西門前に変更します」。地図の画像つきだ。私は子どもと画面を見ながら「西門ってこっちだよね」と確認し、持ち物も一緒に用意した。
当日の朝、西門に着くと同じクラスの親子が次々に集まり、先生が名簿を持って点呼を始めた。子どもは友だちと手を振り合っている。
そこへ、息を切らせた彩香が子の手を引いて駆け込んできた。「正門、誰もいなかったんだけど! なんで?」
先生が事情を説明すると、彩香はスマホを握りしめたまま「通知オフにしてた…昨日バタバタで」と視線を落とした。彼女がグループで書いた集合場所に向かった人はいなかった。
「並んでくださーい」先生の声に、列がすっと伸びた。
「『一括連絡はやめます』と彼女」
遠足は無事に終わり、翌日。彩香からもともとあったクラス全体のグループからメッセージがきた。「昨日は私の段取りで混乱させてしまってごめんね。公式の連絡に合わせて、私の一括連絡はやめます」
園からも「今後はアプリとしおりの確認をお願いします」と全体連絡が届いた。やっと流れが一つにそろった。
その後、公式だけで十分だった
今は、園のアプリとしおりを見れば事足りる。個別の相談は各自で先生へ。彩香とは挨拶程度で、いい距離感になった。
恵が「当日、迷わず行けて助かった」と笑ったとき、あの夜に抜けてよかったと思った。好意に見せかけた“仕切り”に全部を預けなくてよかった。
さいごに
好意で仕切る人がいると一見助かりそうでも、公式の連絡が整っている場ではかえって混乱のもとになります。違和感を覚えたら園に確認し、自分のペースで動くのも一つ。あなたなら、どうしますか?
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。


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