さまざまな理由で離婚を考えている人へ
「もう限界。」「離婚したい。」そう思って動き出そうとしていても、実際の離婚後の生活がイメージできない。
何から動き出してよいのか、わからないまま日々の生活を繰り返してしまう。
そんな悩みをお持ちの方はいるのではないでしょうか。
お子さんがいる中での離婚を考えたときに知っておきたいことといえば『養育費』のこと。
今回は、養育費について現在シングルマザーである筆者が解説します。
私は、高1と中1の二人の子どもをもつシングルマザーです。
離婚してまだ半年ですが、元夫とは一年前に別居し、調停離婚をしています。
今まで主婦業を中心に家庭を守ってきた私が、突然の離婚の危機に見舞われました。
社会的スキルや経済力も無く、今後の生活に不安しかない私は、親族、友達、弁護士さん、就労相談員さん、シングルマザー支援団体に相談をし、自ら調べ、想定される落とし穴を埋めるよう試行錯誤しながら、離婚へ進んできました。
この記事を読んで、離婚を考えている人やシングルマザーの人たちが抱える不安を少しでも軽くすることができたらいいなと思っています。
養育費の相場と受給割合
離婚後みなさんは平均どのくらいの養育費をもらっているのでしょうか?
厚生労働省の調査では、令和3年度全国ひとり親世帯調査平均月額は下記の通りです。
離婚した母親からの受給状況 26,992円
養育費を受け取っている父子家庭 8.7%
70%以上もの多くのシングルマザーの家庭が、養育費をもらわずに生活していることになります。
この現状を回避するため、あらゆる支援団体が活動を広げてくれています。
これから離婚しようと考えている人や、今まさにシングルで頑張っている人、私たちはそれらのシングルマザー支援の施策を自ら調べ、その支援を受けながら生活していくことになります。
では、養育費とはどういった計算で算出されているのでしょう。
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→電気代を節約するおすすめの方法はこちら養育費算定表の見方
「養育費算定表」は、あくまでも養育費を決める上での目安となるもので、必ずしもその通りにする必要はありません。
お互いの同意で金額を出せるようであれば、算定通りでなくてもよいのです。
しかし、実際問題、支払う側は少しでも少ない金額でありたいし、受け取る側は少しでも多い金額にしたいので、スムーズに金額が決まらないのが現状のようです。
その場合、この養育費算定表で金額を決めていきます。
離婚調停や裁判へもつれた場合にも、この養育費算定表を用いて計算されます。
養育費の算定で必要となるもの
- 子どもの数
- 子どもの年齢
- 養育費を支払う側(義務者)の年収
- 養育費を受ける側(権利者)の年収
を比較して算定表と照らし合わせることになります。
子どもの数と年齢
養育費算定表は、子どもの人数と年齢によって分けられています。
- 子どもの人数(1人~3人)
- 年齢(0歳~14歳)
- 年齢(15歳~19歳)
これらの組み合わせから、表1~9の中から該当する表を一枚を選択します。
養育費を支払う側(義務者)と養育費を受ける側(権利者)の年収
縦軸:養育費を支払う側(義務者)の年収
横軸:養育費を受ける側(権利者)の年収
そこから、給与所得者なのか、自営業者かによっても区分されます。
①給与所得者の場合(サラリーマン等)
源泉徴収票「支払金額」(控除されていない金額)をあてはめる。
他に確定申告していない収入は、その収入額を加算する。
給与明細による計算ならば、月々給与に変動がある場合、賞与など含まれていないので、それも加算する。
②自営業の場合(個人事業主)
基本的に確定申告書の「課税される所得金額」が年収とされる。
「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(例:基礎控除、青色申告控除など)を「課税される所特金額」に加算して年収を定めることになる。
注意:上記のような、相手方の副収入の開示が難しい場合や給与の変動がある場合、自営業の場合も複雑です。年収が決められない場合がよくあります。
養育費は、子どもの年令によっては長い間支払われる可能性があるもので、今後の生活に大きく響いてきますので、しっかり決めておくことがとても大事です。
心配な場合は、専門家に相談する事をお勧めします。
実際の表を確認
・第1子15歳、第2子12歳
・妻が2人の子どもを養育する場合
・夫:養育費を支払う側(義務者)の年収 550万
・妻:養育費を受ける側(権利者)の年収 200万
・共に給与所得者の場合
①表1~表9の中から
右上の部分に記載されている子どもの数と年齢が合っている表を探す。
→表4 養育費・子2人(第1子15~19歳、第2子0~14歳)
②夫:(給与)縦軸 550万円 縦軸 上に向かって見る
妻:(給与)横軸 200万円 横軸 右に向かって見る
交差した部分が養育費の算定額になる。
範囲が6~8万円の枠にはまるが、その範囲内でも上の方に位置していることから、
算定額としては、7万5千円~8万円の間が基準となるだろう。
離婚後の子どもの進路も見据えて
そして、離婚後のそれぞれの状況や環境も異なります。
数年後の子どもの進路先、大学、短大、専門学校が希望なのかどうなのか。将来を見据えて話しておくことが大切です。
例えば、子どもの進学先を私立へ通わせるのか、公立で通わせるのかによっても月々にかかってくる負担額が大幅に違います。
我が娘は高校生です。勉強を頑張りたいというので、私立に通っています。
公立高校とは違う、勉強面でのフォロー体制が豊富なところ、コースによって専門知識が学べるところ、大学進学へ向けての指導が豊富なところ、そういったところに魅力を感じ進学させました。
今は、高等学校等就学支援金制度により国立・公立・私立高校の授業料は実質無料になりました。(年収910万円未満の世帯)
国からと県からのダブルの支援制度を組み合わせることにより、ひとり親世帯も私立高校へ通わせることが可能です。
しかし、授業以外にかかる費用(入学金・施設費・制服代・副教材費・PTA費・部活費用諸々)については自己負担ですので、やはり私立への進学は注意が必要です。
そして、卒業・入学の年はお金がかかるものです。
私は養育費とは別に、その時期は一時金補助をするなどの取り決めをしました。
公正証書で取り決めしておくとよいです。
養育費はいつまで?
いつまで養育費が支払われるべきかについては、離婚協議では、成人である18歳までの考え方がある中で、
家庭裁判所では20歳が基本であり、大学在学の場合は卒業までと22歳までに設定される場合があります。
こちらもお互いの同意があれば自由に取り決めが可能です。
養育費がずっと支払われるかは確実ではない
しかし離婚後、養育費が終期まで支払われることが確実なわけではありません。
支払う側(義務者)が支払いを無視した場合以外でも、さまざまケースで支払いがなされないことがあります。
どんなに公正証書で決めごとをしたり、調停や裁判で養育費の額も、その後のお互いの人生の変化によってその額が受け取れなくなることもあります。
例えば、支払う側(義務者)が病気や離職、または再婚して養育する人が増えた場合は、相手方の申立てにより、養育費を引き下げることも出来てしまう。
再婚した場合、養育費は受け取れる?
養育費とは、子どもが社会的・経済的に自立するまでにかかる生活費用全般のことをいいます。
どちらかが、再婚をした場合、支払う側(義務者)の養育義務が無くなったわけではないので、当然継続して支払うべきものです。
しかし、再婚の状況により養育費の額が変化する場合があります。
養育費額を変更したい『事情の変更』がある場合は、家庭裁判所に申立をします。
家庭裁判所へ「養育費減額調停」を申立し、裁判官、調停委員を交えて、調停での話し合いにより、免除・減額になる流れとなります。
それでも決着がつかない場合は、審判に自動的に移行し、その額について裁判所が決めることになります。
当事者間での合意での変更は可能ですが、一度決定された額を変更するのは、困難になりますので、家庭裁判所を交えた方がスムーズに進むと思います。
再婚した時の一般的なパターンとして以下のケースがあります。
①受け取る側(権利者)が再婚した場合
ケース1
再婚相手と子どもを養子縁組をした(第一次的な扶養義務は再婚相手になるので)
→ 再婚後の養育費の支払いが免除になるケースが多い。
ケース2
再婚相手が子どもを養子縁組みしていない
→ 養育費額はそのまま、支払う側(義務者)が今まで通り支払うことになるでしょう。
どちらも、再婚相手の収入や扶養の程度など勘案し、再婚後の状況を考慮し、減免・免除を判断していきます。
②支払う側(義務者)が再婚した場合
ケース1
再婚相手との間に子どもが産まれる場合
→ 減免される場合が高い。(一人当たりの子どもの扶養義務は自分の子どもを自分と同じレベルの生活をさせる義務があるため。)
ケース2
再婚相手の連れ子を養子縁組した場合
→ 減免される場合が高い。(扶養していることには変わりないから。)
ケース3
再婚相手の連れ子を養子縁組しない場合
→ 養育費額はそのまま、支払う側(義務者)が今まで通り支払うことになるでしょう。
再婚した場合の他にもさまざまな背景により、養育費増減額が行われます。
上記にあげた『事情の変更』がある場合に養育費の増減がされます。
事情の変更とは、
- 当事者の転職などにより収入が大きく変化した場合
- 支払う側(義務者)の就労に係る条件
- 支払う側(義務者)が病気した場合
- 物価や具体的生活費による変化
- 支払う側(義務者)が大きな借金を負うことになった場合
- 支払う側(義務者)が持っている重要な資産の処分
などその他、さまざまな事情を考えていき養育費増減をしていきます。
養育費が支払われなかった場合
まずは、離婚前に公正証書や調停調書などの公文書を作成しておくことが大前提です。
協議離婚(当事者間の話し合いでの離婚)では、スムーズに話し合いが進んで離婚できたという人や、もう二度と関わり合いたくないからと感情で離婚してしまうケースがあると思います。
しかし、どんなに離婚前に円満離婚を迎えたとしても、離婚時の子どもの年齢によっては養育費は長期に及び可能性があります。
そして、一度は信頼関係が崩れてしまった相手なのだから、最後まで養育費を支払ってくれるかどうかは疑うべきであって、こちらも準備をしていく必要があります。
養育費については公文書での作成を
上記にあげたように、さまざまな『事情の変化』があります。
養育費については必ず公文書での作成をしておきましょう。
それによって、自分や子どもの生活を守ることができます。
公文書の種類
- 公正証書
- 判決、調停、審判などによる裁判所における取り決め文書
- 強制執行認諾条件付きの公正証書
公文書を作成しておくと、養育費の不払いが生じたときに強制執行ができます。
強制執行は具体的に、相手方の給与や預貯金などを差し押さえ養育費の回収ができます。
給与の差し押さえ範囲は給料から税金などを控除した残額の2分の1です。
しっかりとした金額が受け取れます。
なお、近年の法改正により一度の差し押さえにより、今後の養育費分も差し押さえが可能になりました。差し押さえ先の「相手の銀行口座がわからない」「相手の転勤先の勤務先がわからない」場合も法改正により調べるツールもできました。
日本年金機構に対し、第三者からの情報取得の申立てにより、勤務先の情報が取得できるようになりました。
上記、強制執行に関しては、最終手段として行う方が今後のやりとりとしてよいかと思います。
離婚後も良好な関係を
子どもは親権者だけが育てるのではありません。
離婚しても特に何もしなければ、子どもの戸籍は筆頭者のまま。
自分だけが、筆頭者の本籍地から除籍したことになる程度。
離婚して親権者でなくなったとしても、子どもの親は変わりません。
離れて暮らしても、子どもを扶養する義務はあります。
離れて暮らす側からすると子育ての現実の大変さが薄れていく人もいるだろう。
離婚後まずは、冷静になって基本は支払う側(義務者)との関係性を考える必要があります。
養育費を受け取れる人は離婚後も良好な関係でいる場合が多いです。
子どもとの面会を理解する気持ち、会うことは許していなくても、月一回のメールやLINEでの報告をするなどの努力をすることです。
お互いの歩み寄りにより関係は続いていきます。
育てている方はワンオペで育児、家事に仕事に奮闘するばかりで、感情的になるし、その気持ちに振り回されることも重々わかります。
それを、うまくコントロールしながら、良い関係性の維持に努めることも、養育費を受け続けるコツといえるでしょう。
不安もあるが一歩を踏み出す勇気を
そして、離婚後数年立つと、いつか必ず『事情の変更』により環境は変化します。
いつまでも養育費に頼ることもできなくなるだろう。受け取る側(権利者)養育費はいつか途絶える。
そういう事実があります。
いつ養育費が支払われなくなっても、自立して生活が出来るような準備をしていく。
児童扶養手当も子どもが18歳に達すると支給されなくなります。
その他、自治体から支給される、ひとり親の医療費負担なども終わってしまう。
経済的自立は必要だし、精神的自立も必要になる。
私は思うことがあります。
離婚するとやはり子どもにも影響がでることも少なくない。
不登校になってしまう子、ひきこもり、荒れてしまう子、いろいろな弊害がある中で、ひとり親は必死に明日に繋いでいく。
今までの生活のしわ寄せがきてしまっているだろうが、きっと子どもはそんな大変な親の姿を見ています。
少なからず、離婚に動き出そうとしていることって素晴らしい。
価値観の違いなどの性格の不一致による離婚率が多い中でも、経済力が無いことで、旦那のいいなりになる状況、モラハラに耐える状況、不倫に苦しんでいる状況。
そういう人は特に、一歩踏み出して今の状況から抜け出す勇気をもってもらいたいと私は思います。
今はシングルマザーの貧困に対する理解が法律や各自治体、民間企業、ボランティア団体などの各分野でも動きが広がっています。
そういった、取り組みを上手に利用させてもらいつつ、自分自身も今後の人生における、プランを真剣に考えていく必要があると思います。
まずは、支援を受けながら子どもに目を向け、少し落ち着いたら、我が老後に向けての経済的自立。
今ある課題を一歩一歩クリアしていくと、自信と共に自然にそれから歩む道は出来てきて、後ろには歩んできたこの道の後ろには、この背中を見続けてきた、子供たちがしっかり後を付いてきていると思います。
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