最近、テレビやネットニュースでも話題になっている「トコジラミ」という害虫をご存知ですか?
もしかすると「知らない間に刺されて痒くて辛い⋯」といった方もいるかもしれません。
今回は、そんなトコジラミに刺される前にしておくべき対策や対処法について詳しく解説していきます。
トコジラミとは
トコジラミは「南京虫(ナンキンムシ)」とも呼ばれています。
勘違いされやすいですが、南京とついていても中国産の虫ではありません。
トコジラミの名前の由来は、以前トコジラミが流行った時に「南京錠」みたいに海外からきた珍しいものを「南京◯」と名付けることが多かったからという説があります。
また、トコジラミという名前からシラミの一種かと思われるかもしれませんがそれも違います。
トコジラミはカメムシの一種とされているのです。
トコジラミの特徴
トコジラミは、体長5〜8mmで茶褐色の見た目をしています。
日中の明るい時間帯はベッドや床、壁の隙間に隠れていますが、夜になると活発になって寝ている人の血を吸いに出てくるのです。
また、トコジラミが吸血するのは人だけではなく、犬や猫などの動物が刺される場合もあります。
トコジラミは吸血中に血液の凝固を防ぐために唾液を注入します。
この唾液によってアレルギー反応を引き起こし、個人差はありますが、赤い発疹ができ激しい痒みに襲われることが多いです。さらに、人によっては発熱を伴うこともあります。
刺された際、ひどい場合は痒みが辛くて寝れなかったり、掻きむしって皮膚に跡が残る場合もあるので注意が必要です。
世界で大量発生にしているトコジラミ
トコジラミは、日本だけでなく世界でも大量発生していて大きなニュースになっています。
たとえば韓国では「ビンデ(韓国語でトコジラミ)」と「パンデミック(感染爆発)」をかけて「ピンデミック」とメディアが報じていました。
また、フランスでもトコジラミが大量発生して社会問題になっています。
SNSでトコジラミの映像があげられていたり、公共の場で「トコジラミを見た」という目撃情報が相次いで「トコジラミ・パニック」と報じられていました。
トコジラミの発生は拡大傾向?
2023年12月現在、トコジラミの発生件数は増加傾向にあります。
東京都や大阪府では、トコジラミに関する相談が過去最多になったことを発表しています。
また、殺虫剤でおなじみのアース製薬が11月に問い合わせられた件数は、前年の約8倍となったと発表されています。
トコジラミにとって快適な環境になっている
近年トコジラミの発生が拡大傾向にある背景として、住環境が改善され冬は暖かく、夏は涼しく、そしてネズミやヤモリなどのトコジラミにとっての天敵となる存在がいなくなったことによって、トコジラミが過ごしやすくなったことが影響していると言われています。
この状況に加え、海外の旅行客の増加により海外から日本のホテルなどを通じて、人や物を介して日本全国に広がっているようです。
餌を食べずに長期生存
人や動物の血液がトコジラミの餌になりますが、1年以上血を吸わなくても生き残るものも確認されているそうです。
餌を食べなくてもそれだけ長い期間生存が可能なので、1年前に旅行した時のカバンの中でも生存し続けている可能性があります。
繁殖能力が非常に高い
トコジラミの成虫は、1日に3~6個の卵を産卵し、一生の間に200~500個を産卵すると言われています。
非常に沢山の卵を産卵することに加えて、1匹のメスから生まれた子供同士でも繁殖をすることが確認されているため、一度産卵が確認されることで爆発的な増加の可能性があります。
殺虫剤の効かないスーパートコジラミも
トコジラミを見つけたら殺虫剤による駆除を考えている人もいるのではないでしょうか。
もちろん、殺虫剤による対処法も間違いではありません。
しかし、トコジラミの種類によっては殺虫剤が効かない場合があるので注意が必要です。
殺虫剤が効かないトコジラミは「スーパートコジラミ」「ネッタイトコジラミ」と呼ばれていて、一般的によく利用されているピレスロイド系殺虫剤は効きません。
もし殺虫剤の効かないトコジラミを見つけたら、早急にそのほかの対処法に切り替えていきましょう。
スーパートコジラミに殺虫剤が聞かない理由
スーパートコジラミと言われるものに殺虫剤が効かない理由にはいくつかあります。
①皮膚が厚く進化
従来のトコジラミに比べて、スーパートコジラミは皮膚が厚く進化しているそうです。
そのため、殺虫剤の成分が体内に浸透しづらくなったことで駆除率が低下しています。
②殺虫成分を解毒分解
殺虫剤などの体内に入った異物成分を解毒・無効化する酵素を持つように解毒能力が強化し、殺虫剤に対して強い耐性を持つようになっています。
③神経細胞が変化
殺虫剤は、神経に作用し駆除する物が多いのですが、スーパートコジラミは神経に作用しないように遺伝子レベルで神経細胞が変化しているため殺虫剤が効かなくなっています。
トコジラミにさされた場合の症状は
トコジラミに刺された時の主な症状は、「赤い発疹」「強い痒み」「腫れ」などがあります。
刺されても1度目は症状は出にくく、強く症状が出るのは2度目以降であることが多いようです。
刺された時の痛みは感じなく、症状が出る場合は刺されてから48時間以内に出る事が多いです。
刺された時の傷はなかなか消えづらく、1〜2週間経っても痕が残っていることがあります。
痒みもすぐに治ったりはしないので、刺されたら1週間ぐらいは痒みが続くものだと考えておきましょう。
トコジラミに刺される前にしておきたい対策
できることなら、トコジラミに刺される前にしっかりと対策して予防しておきたいところです。
ここでは、トコジラミに刺される前にしておきたい対策をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
海外旅行や出張の際は細心の注意を払う
現在、トコジラミは日本だけではなく世界各国で急増しています。
仕事や旅行で海外に行った時は、ほとんどの人が現地のホテルに泊まることになるはずです。
そして、そのままホテルに泊まって寝ている間に刺されるといったケースがあります。
ホテルには世界中の人たちが宿泊するので、海を渡ってトコジラミを連れて来る可能性が高いのです。
宿泊先や外出先から持ち帰る可能性を考える
上記に付随して可能性が高いのが、宿泊先や外出先から持ち帰ることです。
これはなにも海外に限ったことではありません。
日本国内の旅行先からトコジラミを持ち帰る可能性も十分にあるのです。
それによって現地で刺されたり、洋服やスーツケースなどにくっついたトコジラミに気づかずそのまま帰宅して、家に持って帰って刺されてしまうというケースもあります。
万が一持ち帰ってしまっていた場合に家中に被害を広げないように、手荷物がすっぽりと入る大きさのコンテナや衣装ケース、ゴミ袋等に入れて一時保管し、時間があるときに目視でトコジラミの混入がないか一つ一つの荷物をチェックすると安心です。
こまめに掃除する
家でのトコジラミ対策は、こまめに掃除をすることです。
トコジラミは狭くて暗い場所を好むので、その辺を重点的に掃除するようにしましょう。
タンスの内側やベットの裏など、普段あまり目を向けない場所にトコジラミは潜んでいます。
トコジラミが潜んでいれば、血糞(黒いごまみたいなもの)や卵などがあるので、まずはそれを確認してみてはいかがでしょうか。
「赤黒いフン」が見つかったら要注意
トコジラミは人の目につきにくい場所にいるため、発見が難しいです。
トコジラミそのものを見つけることは難しいですが、トコジラミが潜む場所には黒いゴマのような血が混じった「赤黒いフン」が見つかるようになります。
この赤黒いフンをトコジラミが存在する可能性が大です。
トコジラミを見つけた際の対処法
いざトコジラミを見つけたら慌ててしまう方もいるかもしれません。
ここでは、トコジラミを見つけた際の対処法をご紹介していきますので、ぜひ参考にして冷静に対処していきましょう。
掃除機で吸い取る
家庭でトコジラミを見つけた際にもっとも簡単な対処法が掃除機で吸い取ることです。
トコジラミやその卵、死骸を見つけたらすぐに掃除機を準備して吸引しましょう。
吸い込んだ卵が中で孵化する可能性があるので、吸引後はすぐにゴミ出しをするようにしてください。
熱処理をする
トコジラミを死滅させるには、熱処理をするのも1つの方法です。
トコジラミは熱に弱く、50°Cで大体30分、100°Cだと数秒で死滅するとされています。
家庭で熱処理ができる方法は、ドライヤー・熱湯・乾燥機・アイロン・スチーマーなどがあるので、一番やりやすい方法でトコジラミを死滅させましょう。
プロ(害虫駆除業者)への依頼
個人での対処が難しい場合は、プロの害虫駆除業者に依頼するのも1つの手です。
費用はそれなりにかかりますが、プロが徹底的にトコジラミを撲滅してくれますので、その日から安心した生活を確保してくれます。
諦めて廃棄する
トコジラミやその糞などを見つけた時、少しだけなら対処することができますが、あまりにも数が多い場合もあります。
そんな時は、諦めて破棄するのも1つの選択です。
衣服やカーペット、カーテンや布団カバーなどは思い切って処分してもいいかもしれません。
トコジラミに刺されないように気をつけよう!
今回は、トコジラミに刺される前にしておくべき対策や対処法について詳しく解説しました。
トコジラミは刺される前にしっかりと対策しておくことが大切です。
また、家で見つけた際は慌てず冷静に対処していきましょう。
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