子育て世帯の強い味方ともいえる「幼児教育・保育の無償化制度」ですが、実際のところ本当に無料で保育が受けられるのか、何歳から何歳までの子どもが対象なのか、自分の世帯は無償化の対象なのかなど、さまざまな疑問を抱えている人は多いです。
しかし、制度的な内容となると「難しそうで調べてもよく分からない…」と感じる人もいるでしょう。
本記事では「幼児教育・保育の無償化」について無償化の範囲や対象年齢、対象世帯、無償化で利用できる施設・サービスについて分かりやすく解説します。
小さなお子さんがいる世帯の方々は、ぜひ参考にしてくださいね。
「幼児教育・保育の無償化」とはどのような制度なのか?
「幼児教育・保育の無償化制度」は少子化対策の一つとして、幼児期の子どもを育てる家庭の負担軽減のために定められた制度です。
令和元年10月1日から実施されており、幼稚園・保育所・認定こども園などの幼児教育施設やサービスを無償で利用できる制度となっていて日本全国の3〜5歳児を対象に幼児教育・保育が無償化されています。
0~2歳は、子どもの人数や世帯での収入状況によって、無償化の範囲が異なっています。
またこの適用条件に関しては、お住いの地域の自治体によって違いがある場合があります。
実際の幼稚園や保育所での生活の全てが無償化と言うわけではないため、制度のことをよく理解しておきたいですね。
実際に無償化の対象になるのは何歳からなのか、無料になるサービスは何なのかについて詳しく解説していきます。
対象の年齢や条件
幼児教育・保育の無償化の対象年齢は満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間です。
2015年の「子ども・子育て支援新制度」で教育・保育の場として挙げられている幼稚園や保育所、認定こども園などの利用料が無料になります。
国立・公立・私立の区別はなく全てが対象で、住んでいる市区町村以外の対象施設・サービスを利用した際も無償化の制度は適応されます。
原則として無償化の対象は「利用費のみ」
幼児教育・保育の無償化制度で無料となるのは「利用費のみ」とされています。
そのため、通園送迎費(通園バスの利用費)、食材費(給食やおやつ費用)、行事費等は自己負担です。
入園料など、利用する施設やサービスによっては無償化にならないものもあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
無償化と言っても上限無く利用料が無料になるわけではなく、無償化の上限が定められているため、上限を超えた場合の費用は自己負担となる点にはご注意ください。
幼稚園では月額上限25,700円、預かり保育では幼稚園の利用に加えて月内の預かり保育利用日数に450円を乗じた額と、預かり保育の利用料を比較して利用料が小さい方が最大月額11,300円までが無償化されます。
認可外保育施設等を利用する場合は3〜5歳までの子どもは月額37,000円まで、0〜2歳までの住民税非課税世帯の子ども達は月額42,000円までが無償化対象となります。
保育無償化の対象施設・事業には何があるの?
幼児教育や保育のサービスを受けられる施設や事業の種類はいくつもあります。
無償化の対象となっている施設や事業は何があるのか詳しく見てみましょう。
幼児教育・保育の無償化の対象施設・事業
無償化の対象となる施設・事業は以下の種類があります。
・幼稚園(預かり保育も含む)
・保育所(*1)
・認定こども園
・企業主導型保育事業
・認可外保育施設
・一時預かり事業
・病児保育事業
・ファミリー・サポート・センター事業
・就学前の障がい児の発達支援(*2)
(*1)保育所の延長保育は無償化の対象外のため、保育料が必要になります。
(*2)就学前の障がい児の発達支援で無償化の対象となるのは利用者負担額のみのため、医療費や食費等の費用は実費で負担します。幼稚園・保育所・認定こども園等と障がい児の発達支援サービスの両方を利用する際は、両方とも無償化の対象です。
保育無償化のために必要な手続きはあるの?
ぜひ活用したい幼児教育・保育の無償化制度ですが、対象になるために必要な手続きはあるのでしょうか?
利用する施設やサービスによって手続きの有無に違いがあるため、紹介します。
新たな手続きが必要ない施設・サービス
子ども・子育て支援新制度の対象の幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育を利用する際は無償化になるための新たな手続きは必要ありません。対象年齢になると自動的に無償化の対象に含まれます。
また、障害児の発達支援サービスを利用する場合も無償化にあたって新たな手続きは必要ありません。
障がい児の発達支援で無償化の対象となるのは以下のサービスです。
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・居宅訪問型児童発達支援
・保育所等訪問支援
・福祉型障害児入所施設
・医療型障害児入所施設
新たな手続きが必要な施設・サービス(認可外保育施設など)
新制度に移行していない幼稚園を利用する場合には申請書類の提出が必要です。
申請書類は通っている幼稚園から配布され、幼稚園を経由して市町村に申請します。
幼稚園の利用に加えて保護者の仕事の関係で預かり保育を利用する場合や、認可外保育施設、企業主導型保育事業を利用する場合は、住んでいる市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
幼稚園の預かり保育での無償化の申請は幼稚園から書類を配布されますが、認可外保育施設の場合は基本的に住んでいる市町村から書類が配布され、市町村に直接申請する必要があるため注意が必要です。
申請の結果「保育の必要性の認定」を受けられると無償化の対象(上限額あり)になります。
幼児教育・保育の無償化に所得制限はあるの?
幼児教育・保育の無償化の対象に所得制限はありません。
対象年齢の子どもがいる家庭であれば無料で保育サービスを利用できます。
各世帯の所得に応じて別途補助がある場合があり、年収360万円未満相当の世帯の子どもは副食(おかずやおやつ)の費用が免除されます。
つまり、年収360万円未満相当世帯に満3歳の子どもがいるときは、幼稚園もしくは保育所等の利用料と副食費用が無償化になるということです。
※お住いの自治体によって、年収額の条件などに違いがある場合があります。詳細はお住いの地域の自治体に直接確認ください。
2人目以降の保育料負担はどうなるの?
第1子の無償化だけでなく、複数人の子どもがいる子育て世帯の負担も考えて利用料の軽減、もしくは無償化が適応されます。
それぞれの世帯によって負担軽減の条件が異なります。国が定めている各世帯状況の第2子以降の保育料について解説しますが、お住いの自治体ごとに世帯の収入区分や対象となる保育料が違う場合もあるようです。詳細に関しては、お住いの自治体に確認する方がいいでしょう。
全ての 3~5歳 |
第1子 ※ 0~2歳 |
第2子 0~2歳 |
第3子 0~2歳 |
|
一般世帯 | 保育料無償 (第3子以降は副食費も免除) |
保護者負担 | 保育料半額 | 無償 (保育料+副食費) |
年収360万円未満相当世帯 | 保育料無償+副食費免除 | 保育料半額 (副食費免除) |
||
住民税非課税世帯 | 無償 (保育料+副食費) |
※第1子とは、小学校就学前までの最年長の子どもを第1子とカウント
一般世帯
一般世帯では第2子以降の子どもの利用料に関して、保育所等を利用する最年長の子どもを第1子と考えて、0歳から2歳までの第2子は利用料が半額、第3子以降は無償化となります。
例えば、7歳、5歳、2歳の3人のお子さんのいる家庭の場合で考えてみましょう。
7歳のお子さんは幼児教育を終了して小学校に通っている年齢となるので、幼児教育無償化の対象外になるため、幼稚園・保育所等を利用している最年長の5歳のお子さんを制度上は第1子として考えます。
5歳の第1子は無償化の対象で、2歳の第2子は、保育料が半額になるというわけです。全世帯において第3子以降の子ども達は保育料に加え副食費(おかずやおやつ等)が免除されます。
年収360万円未満相当世帯
3~5歳までの全てのお子様が保育料と副食費の両方が無償化の対象となります。
0~2歳のお子様の保育料は一般世帯と同様になりますが、第2子以降は副食費が免除となります。
住民税非課税世帯
住民税非課税世帯では、0~5歳の全てのお子様の保育料及び副食費は無償となります。
基本的に3歳から保育料の無償化対象になることは所得に関係なく、全世帯共通で適応されます。
0~2歳の保育料が半額になるのか無償化になるのかは、世帯収入や子どもの人数によって異なるということです。
最後に実際に自分の家庭が無償化の対象なのか、いつから無償化になるのかを分かりやすくチェックできる内閣府発行の図があるため、無償化について調べている方はぜひ参考にしてください。
まとめ
令和元年から始まった「幼児教育・保育の無償化制度」は、すっかり私たちの生活に浸透しており、小さな子どもを育てる世帯の大きな手助けをしてくれている制度です。
あくまで幼児教育・保育の「利用料が無償化」で給食費など実費自己負担分もあることや、保育所の延長保育は無償化の範囲外であることには気を付けておきたいですね。
無償化の申請手続きは今となってはほとんどの幼稚園・保育所・認定こども園は新制度に移行しているため、手続きなしで無償化の対象になっていることが多いです。しかし、幼稚園の預かり保育や一時預かり、病児保育、ファミリー・サポート・センター事業など利用自体に認定は不要でも無償化制度を利用するためには認定が必要な場合があります。
疑問に感じることがあるときは、住んでいる市区町村に問い合わせて確認しましょう。
コメント