2024年(令和6年)1月1日、石川県の能登半島で震度7の大地震が発生した「能登半島地震」。
石川県在住の筆者も能登寄りの夫の実家で被災し、震度6を経験しました。
夫の実家から車で40分ほど離れた筆者の自宅でも地震発生から数時間経って断水が始まり、飲料可能になるまで4日かかりました。
この記事では、実際に能登半島地震を経験した筆者の実体験を交え、もしもの断水発生の場合に普段から備えておきたいものや、断水時のトイレの流し方などのライフハックなど、断水した時に役立つ情報をご紹介します。
困った時でも冷静に対応できるよう、普段から知識をアップデートしておきましょう!
きっと役に立つ情報なので、ぜひ読んでみてください。
断水って?どんなことが困る?
断水とは、読んで字の如く「水が止まること」
災害や凍結などで水道管や排水に何らかの問題が発生すると、蛇口という蛇口から水が出なくなるのです。
今回は2024年1月1日に発生した能登半島地震により、多くの地域で断水が起こりました。
断水が起こっている地域は震源地付近の能登半島だけでなく、地震発生から2週間以上経った今でも、各地域で断水は解消されていません。
筆者の住んでいる地域は、運良く断水開始から3日目の夕方には濁った水が出て、翌日の夜に飲料可能の通達がされましたが、たった3日の断水でも凄まじいストレスを感じました。
断水で特に困ったこと
- トイレが流せない
- お風呂に入れない
- 汚れても手が洗えない
- 食器が洗えない
など、普段であれば当たり前で意識をしないような行動や生活が非常に困難になります。
筆者は断水が解消するまでは、地域の方が善意で解放してくださっている井戸水を汲みに行ったり、公民館や市役所で給水袋を頂いたりしましたが、普段やらないことなのでとても労力を使いました。
トイレを流すだけで大量に水を消費する
そうして苦労して手に入れた水も、トイレ一回流すだけで、かなりの量の水を使用するのですぐに無くなってしまうんです。
TOTO公式ホームページでは、非常時トイレを流す方法としてバケツを使って水を勢いよく便器に流すことを推奨しており、「バケツ1杯分(6L程度)の水を勢いよく便器の中心に向かって流し込む」と書いてあります。
※詳しい断水時のトイレの流し方は「断水時のライフハック」で後述します。
※この方法は下水管が破損していない場合のみ有効です。
当時は家にタンクなどを用意していなかったので、井戸水は空いたペットボトルで汲んでいましたが、見かねた近所のおじいちゃんが使っていない袋状のタンクをくれてとても助かりました…!
袋状のタンクはペットボトルより口が大きいので、トイレに勢いよく水を流せたのでとても便利でした。
しかしトイレ1回流すのにこの袋状のタンクに入ったすべての水を使い切ってしまうので、トイレは何回か溜めてから流すことに。
臭いや汚れがひどくなり、衛生的な心配も…。
お風呂に通うことはできたが物凄いストレス
お風呂は、金沢の方は断水していなかったので、少し遠いですが銭湯に通いました。
銭湯に通うのは大変でしたが、地震の緊張や寒さで身体が強張っていたのと、普段と違い衛生的な生活を送ることができていなかったこともあり、温かいお風呂に入りたいという家族の強い要望があり通っていました。
運よく我が家周辺は3日で断水が解消しましたが、2週間以上経った今も能登半島をはじめ、我が家の近隣地域や金沢に近い地域も断水や下水の故障で普段通りの生活に戻ることができていません。
断水時の苦労は自宅のお風呂に入れない事もそうですが、トイレが自由に使えない・流せないというストレスが半端なく…
たった3日の断水でも大変な思いをしたのに、2週間以上も断水している地域の方たちの心労は計り知れないものです。
こうして3日間の断水を経験して、便利だったものや備蓄した方が良いと感じたもの、防災に関して学ぶことがとても多くありました。
次の項目では断水したときにいるものをお伝えしていきます。
断水した時に必要な物 12選
断水を実際に経験することで、普段意識しないような行動が制限されることのストレスを強く感じました。
その期間が続くほどのそのストレスは大きくなります。
ここでは実際の断水経験で用意しておけばよかったと思った物12選をご紹介します
※記載の商品価格は記事執筆時点に確認した参考価格となります。
- ①備蓄水
- ②飲料水用のタンク
- ③生活用水用のタンク
- ④空のペットボトル
- ⑤非常用トイレ
- ⑥ウェットティッシュ
- ⑦使い捨ての食器類
- ⑧ラップやアルミホイル
- ⑨調理がいらない食料(非常食・保存食)
- ⑩ドライシャンプー
- ⑪マウスウォッシュやガム
- ⑫大きめの袋(密閉できるもの)
①備蓄水
備蓄水は1日1人3リットル必要です。
7日分以上備蓄することが推奨されていますが、家族が多い方は置き場所がなく現実的ではありません。
置き場がない場合は最低でも3日分あると安心です。
3日分で5人家族の我が家は45L必要。
2Lのペットボトル6本セットの段ボールが3〜4箱必要となります。
消費期限の長い備蓄水もありますが価格が少し高いので、我が家では500円前後の2L×6本の段ボールを買って、日常的に消費しながら使った分だけ買い足していくローリングストックをするようにしています。
ローリングストックが手間だと感じる方は5〜10年と長期保存可能な備蓄水がおすすめです。
価格:3,680円
②飲料水用のタンク、③生活用水用のタンク
飲料用と生活用水用のタンクはわかりやすく分けておきましょう。
水が出るようになっても、しばらくは濁っていて飲料水にはならないので、タンクを分けておかないと衛生的に心配です。
市役所や公民館でもらえる給水パックは飲料も可能で、パックは熱湯消毒すれば再利用可能です。
一度もらったら取っておくことをお勧めします。
使用しない時はコンパクトに畳むことができる大容量の折りたたみ水タンクもネット通販などで購入することも可能です。
価格:3,580円
④空のペットボトル
キリや釘など穴を開けれるものがある場合、空いたペットボトルのキャップに穴を複数個開けると手洗い水や洗髪時の簡易シャワーとして使えます。
そのほか水を汲みに行く際にも使えるので、備蓄水の空いたペットボトルは捨てずに残しておくことを推奨します。
後ほど「ペットボトルシャワーの作り方」も紹介します。
⑤非常用トイレ
断水時で大量の水がない時は当然のこと、水があっても下水管が破損している場合は、トイレやお風呂などの生活用水を流すことができません。
そんな時でも可能な限り衛生的に利用することができる「非常用トイレ」はもしものために必ず備えておきたいアイテムです。
トイレにビニール袋を被せて用をたして凝固剤で固めるものや、トイレが破損などで使えない場合には段ボールでできた簡易トイレもあります。そのほかペット用シーツも代用可能です。
用意する非常用トイレの数は、理想は「1日あたりの家族のトイレ回数×7日分」と言われています。
排泄物は感染症などの原因にもなるので、利用後はしっかりと袋を縛り一箇所にまとめておきましょう。
価格:3,000円
⑥ウェットティッシュ
断水した場合、水が非常に貴重なものとなるので、ウェットティッシュがあると重宝します。
お風呂に入れない場合もあるので、ボディ用のウェットティッシュもあると良いでしょう。
100均で揃えることができるので、多めに買っておいて損はありません。
そのほか手が洗えないので、除菌が可能なアルコールのウェットティッシュも便利です。
普段から掃除などで利用してローリングストックしておくと、中身が乾いて無駄にする心配もありませんよ。
価格:1,149円
⑦使い捨ての食器類
断水時は洗い物ができないので、紙皿・紙コップ・割り箸など使い捨ての食器が必要です。
震災後はどこも売り切れでなかなか買うことができないので、普段から100均で揃えておくと良いでしょう。
我が家は、アウトドアに出掛けることが多いので、使い捨ての食器やストローなどを必ず車に積んでいます。
家だけでなく車にも積んでおくと便利ですよ。
価格:643円
⑧ラップやアルミホイル
使い捨ての食器類が手に入らない場合、お皿にラップをかけると汚れず洗い物を増やしません。
アルミホイルはフライパンに被せて使えば汚れを防ぐことができます。
くっつかないフライパン用のアルミホイルだとより良いですね。
普段の生活でも使うものなので、多めに備蓄しておいても損はありませんよ。
価格:3,780円
⑨調理がいらない食料(非常食・保存食)
冷たいままや温めて食べられるものが便利。
レトルトのお粥は加熱も不要ですぐ食べられるので便利です。
今回筆者の自宅は電気は通っていたので温めは可能でしたが、停電している場合オール電化なので終了してしまうところでした。「ガスコンロ」も常備しておくと良いでしょう。
お湯が沸かせられれば、食べられるものの幅がぐんっと広がります。
お菓子も普段から多めに備蓄しておくと安心です。
価格:2,083円
⑩ドライシャンプー
今回筆者は遠くても断水していない金沢の銭湯に通うことができましたが、通える場所に銭湯がないという方もいるかと思います。
普段使い馴染みがないものですが、水を使わず洗髪できるドライシャンプーは水が出ない時に重宝します。
多くのドライシャンプーが未使用未開封であれば3年の保存が可能です。(各商品によって違いがあるので必ず使用期限の確認をしてください。)
価格:1,200円
⑪マウスウォッシュやガム
歯磨きに回せる水が確保できない場合は、マウスウォッシュまたは無糖のガムが有効です。
小さいお子さんやご高齢の方がいてマウスウォッシュやガムが難しい場合は、空いたペットボトルで作る簡易シャワーを利用したり、使う分だけコップに出しておけば水の使用量を減らすことができますよ。
価格:798円
⑫大きめの袋(密閉できるもの)
ある程度の生活用水が確保できる場合に限りますが、洗濯の時に大きめの袋があると便利です。
今回の地震は時期が冬だったため、冬服をいつものように洗濯するのは困難ですが、下着や靴下などの小さいものはジップロックなどの密閉できる袋で少量の水で洗濯ができます。
着替えが満足にできなくても、下着類だけでも綺麗に洗えれば気持ちが大きく違いますよね。
簡単に洗濯できるので、旅行時にも使えます。
価格:4,280円
断水したらやること
- 止水栓を閉める
- 給湯器の元栓を閉める
断水したらまず、止水栓と給湯器の元栓を閉めましょう。
断水後の復旧対応のために、水道本管の漏水調査で通水試験が行われます。
その際、止水栓や給湯器の元栓を閉めていないと、断水の解消が遅れたり給湯器内に錆が入ってしまい故障の原因となる可能性があります。
今回筆者の家には通達がありませんでしたが、トイレの元栓も閉めておいた方が良いそうです。
その他、災害発生時は自治体からの指示に従いましょう。
断水が解消したらやること
水道が完全に復旧したら、以下の順番で水を出しましょう。
水道の元栓を開く
- 外の蛇口
- 洗面台
- キッチン
- トイレ
- 給湯器
外の蛇口で空気や汚れを充分に流し出してから、室内の水を出しましょう。
断水解消後しばらくは水が濁っているので飲料はできません。
飲料可能のお知らせが来るまで待ちましょう。
断水した時のライフハック
今回の地震で役に立ったのは、インスタグラムやX(旧Twitter)、LINEなどのSNSでした。
自治体のアカウントがある場合、フォローしておくと有益な情報をすぐに知ることができるのでおすすめです。
少ない水で手を洗う!ペットボトルシャワーの作り方
- ペットボトル側面下部に穴あける
- 穴をふさぎならが水を入れフタをする
- 使用時はフタをゆるめる
- 使い終わったらフタ閉めて横にする
防災セットの1つとして作っておくといざという時に便利ですよ。
便器取り付けタイプのトイレがおすすめ
自宅用には便器取り付けタイプ、便器が壊れている場合には折りたたみ可能な簡易トイレが便利です。
用を足したら携帯トイレのポリ袋を回収するだけです。
凝固剤があるとより衛生的です。携帯トイレは1日1人5回トイレに行くと仮定して、×家族分×1週間分と多めに用意しておくと安心です。
合わせて用意しておくと良いものは、トイレットペーパー・ランタンやヘッドライト・45Lポリ袋・ウェットティッシュやペーパータオルなどです。
バケツの水でトイレの流し方
①バケツに6Lほどの水を入れ、勢いよくトイレに流し込む。
この時水の量が少ないとうまく流しきれなくなるので、充分な水の量を確保しましょう。
②流れた後は水位が上がらなくなるまでゆっくりと水を投入する。
※トイレの水を流すには多くの水を消費する必要があります。ある程度の生活用水が確保でき、下水が故障していない前提で利用してください。
災害時に少ない水で洗濯する方法
断水が長期化した場合、下着などを選択しないまま着用し続けることは不衛生ですしストレスの原因にもなります。その場合には、貴重な水を少量使用した洗濯が有効です。
- 密閉できるポリ袋やビニール袋に洗濯物と少量の洗剤(重曹でも)と水を入れる
- 揉み洗いをする
- 水を替えてすすぎ洗剤を落とす
- よく絞って干す
また、下着に関しては洗濯不要で使い捨てで衛生的に利用できる紙パンツなども便利です。
まとめ
災害や断水はいつ起こるかわかりません。
わからないからこそ「自分は大丈夫」と過信せず、災害が起こっても冷静に対処できるよう、知識や物資を備えておく必要があります。
もしも断水が起こった時、「あの記事に書いてあったな」と思い出してもらえると嬉しいです。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
コメント